6月2日に愛知県三河地方に大きな被害をもたらした記録的大雨では、課題も浮かび上がりました。

豊橋市では、6月2日の午後に出した「避難指示」や「緊急安全確保」が、市の決定から最大3時間あまり遅れて災害情報共有システム「Lアラート」で放送局などに送信されていました。
Lアラートは市町村が出す災害情報を、各都道府県を通じて報道機関に一斉送信し、住民に迅速に伝達することが目的です。
2日の豊橋市は午後3時10分に豊川と豊川放水路の流域を対象に「避難指示」の発表を決定。
しかし、Lアラートでは3時間あまりたってから他の地域の「緊急安全確保」の情報とともに発信されました。

Lアラートの入力には、まず氾濫などの危険がある河川を選択し、警戒レベルの選択をした後に町名を選択します。
さらにその後、人口と世帯数を資料をみながら修正。多いときはこの作業を100個以上の町で繰り返します。
(豊橋市防災危機管理課 佐藤実課長)
「1端末で処理をしていく。最初はレベル3だったものが、10分後にレベル4、20分後にレベル5にとなると、こちらとしては処理能力を超えてしまう」
このLアラートのシステムは愛知県のもの。豊橋市独自のシステムを採用しているエリアメールやツイッターなどは「避難指示」や「緊急安全確保」など全ての情報を正確な時間に発信していました。
このLアラートのシステムについて、県は「現状システムを変更するつもりはないが、操作の研修などをして対策していく」としています。
一方で、豊橋市民からはこんな声も…
(市民)
「レベル4とか5とか分からない。(携帯が)鳴るは鳴ったんだけど、そんなの見ている余裕はない」
「難しい4とか5とかあるけど、分かりやすい言葉にしてほしい」

5段階の警戒レベルのうち、紫の「警戒レベル4」までに「全員が必ず避難」とされています。
黒の「警戒レベル5」の「緊急安全確保」を待つことなく避難することが、命を守るために大事なことです。

今回、「緊急安全確保」が出された豊橋市民はどう行動できたのか…
(市民)
「4,50センチまで水が来た上がってくるともうドアが開かない。逆に逃げたほうが危ないかなと」
Q避難はした?
「してないです。2,3時間で引くんじゃないかと言うイメージがあったので」

改めて避難についての課題が浮き彫りになったことで、230万都市の名古屋市はどう見るのか?
(名古屋市防災危機管理局 伊藤真平係長)
「どういった理由で遅れたかまでは把握していないが、災害の混乱混乱があるというところは理解できる」
まだ一度も警戒レベル5の「緊急安全確保」を出したことがない名古屋市。不測の事態が起きることへの不安は否定しません。

(名古屋市防災危機管理局 伊藤真平係長)
「大きな災害になると、不測の事態も想定される。それに対応できるような体制、例えばLアラートの発信ができなかったとしても、他の手段で危険度を伝達するといった、複数の方法でカバーしていくことが必要ではないかと思う」