東邦ガスが魚の養殖です。2年前から試験的に行ってきた、マイナス160℃の液化天然ガスを活用したトラウトサーモンの養殖。

ことしは8日に初の水揚げ、10日販売となりました。果たして、お味は?

愛知県知多市にある東邦ガスの工場。

「トラウトサーモン」とは海水で飼育した「ニジマス」のこと。

水産庁によりますと、サケ・マス類の世界の養殖生産量は2020年には10年前と比べて約1.7倍の400万トン以上に伸びていて、需要が高まっています。

では一体なぜ、工場内で養殖をしているのでしょうか?


(東邦ガス 事業開発部 嶋野純次長)
「マイナス162℃のLNG(液化天然ガス)を気化させて都市ガスを供給しているが、その時に海水をかけて気化させることをしていて、冷えて冷たい海水になる。その冷たい海水を使ってトラウトサーモンの養殖ができるのではと」


これは2021年11月から東邦ガスと水産業を行うニッスイとの共同プロジェクトで、飼育は約マイナス160℃のLNG=液化天然ガスを利用したもの。

LNGは海水で温めることで液体から気体になりますが、その際に出る冷えた海水を利用して飼育しています。

これまで、その冷えた海水は海に捨てられていました。


トラウトサーモンは一般的に20℃以上での飼育は難しく、13℃から15℃が適温。

飼育数は去年の3倍ほどの約9000匹に増やしました。

年間の出荷量の目標は10トン以上。

(東邦ガス 事業開発部 嶋野純次長)
「試験的な規模ではあるが需要が増えてきていて、寿司ネタでも人気になってきているところなので、試食した感じだと脂乗りがさっぱりしていて食べやすい味」

ここで飼育されたトラウトサーモンは「知多クールサーモン」と命名され、この地方のスーパーなどで販売されます。


愛知県稲沢市のスーパーを訪れてみると、10日は刺身用で1パック400円から800円ほどで販売されていました。

(ユニー 鮮魚バイヤー 鮫島正和さん)
「地産地消の取り組みにもつながると思い(販売を)スタートした。もっと買いやすい値段になって、客がいっぱい食べていただけるようになれば」

売り場では、さっそく購入する人の姿が…。

(購入者)
「珍しいものがあると思って買った。娘がサーモンが好きなので」
「色が濃い(通常のサーモンと比べて)楽しみにしている」

こちらのスーパーでは週末を中心に6月上旬ごろまで「知多クールサーモン」を販売していくということです。