暗闇の中で大笑いする不思議な神事が5月4日、名古屋市の熱田神宮で行われました。その名も「オホホ祭り」、どんなお祭りなのでしょうか。

名古屋市の熱田神宮で約1300年前から行われている「オホホ祭り」。
5月4日の午後7時前、多くの参拝客が見つめる中、16人の神職が神楽殿から出てきて、1列に並びます。

太鼓の音を合図に神職が歩きだし、それに続く参拝客。提灯のかすかな光を頼りに、明かりがすべて消された暗闇の神宮内を進みます。
そして。


神職たちは一人一人、決して見てはならないと伝えられている「神面(しんめん)」を袖の中に隠し持っていて、それを扇で軽く叩いては…。
「オホ」という声に続き、笛の音に合わせて全員が一斉に大声で「オホホ」と笑い出します。
のけぞりながら大笑いをする神職たち。
その後も足並みをそろえて暗闇を進み、違う場所でもう一度…。
この「オホホ祭り」は、正式には「酔笑人(えようど)神事」と呼ばれ、毎年5月4日に行われている熱田神宮のれっきとした神事のひとつ。
起源は約1300年前まで遡ります。
現在、神宮内に安置されているという三種の神器のひとつ「草薙(くさなぎ)の剣(つるぎ)」が、686年に皇居から熱田神宮に戻ってきたときに当時の神職たちがこぞって喜んだことを今に伝えるものだとのこと。
参拝客は…。
(参拝客)
「闇夜で笑っているのが面白い。(来年も)また来ようと思っている」
「(歩いているのを見たとき)一瞬、あの世の存在ではないかと思った。ついていったら笑っていたのでびっくりした」
「ご神体」である「草薙の剣」にかかわるものであることから、暗闇の中で行われるというこの神事。
「祝詞(のりと)」やお供え物もなく、神面をたたく理由や、どんな神面なのかなど多くの謎に包まれています。

神事なのに、どこか非日常的で親しみやすいというギャップ。
参拝客の心をつかむ、なんとも不思議な神事です。