ロシアによるウクライナ侵攻が始まって約1年。「チャント!」では、日本に避難したウクライナ人のデルカッチさん一家に密着してきました。言葉もわからなかった異国の地で戦争終結を願いながら懸命に生きる姿を追いました。
日本での新しい一歩を踏み出したウクライナ避難民の家族

2023年2月24日の午後、名古屋・栄でウクライナの平和を願うデモ行進が行われました。この地方に住むウクライナ出身者や避難民が参加、その中にいたのがデルカッチさん一家です。

2022年6月、ウクライナ東部のハルキウから家族5人で避難。SNSで知り合った日本人の支援を受けながら、愛知県安城市で新たな生活をスタートさせました。

(ウクライナから避難 オレーナ・デルカッチさん)
「いま望むのは、この戦争が終わることだけです」

2022年2月24日。突如、爆音が鳴り響きロシアによる軍事侵攻が始まりました。この日からウクライナの人たちの日常は奪われました。侵攻から約1か月後の3月には、ウクライナからの避難民が来日。住居の提供や就職先の斡旋など支援の輪は広がりました。

最初は色々な問題がありました。例えば、次女のアルビナさんには牛乳アレルギーがあります。スーパーで、日本語のみで書かれた商品の原材料表記を確認するのは簡単ではありませんでした。

来日1か月後、父親のヴァレリさんはウクライナにいるときにも携わっていた内装関係の仕事を始めました。言葉の壁は小型の翻訳機でなんとか乗り越えています。3人の子どもたちも、地元の公立小学校に通い始めるなど、日本で新たな一歩を踏み出しました。
「高い技術にびっくり」不安の中でも新しい職場が見つかる

夏には、浴衣を着て七夕祭りも体験。地域との交流も徐々に深まってきた一方、ウクライナに残る両親のことなど、いまだ不安は尽きません。

(ウクライナから避難 オレーナ・デルカッチさん)
「私の両親が住む町では、今もロシア軍による攻撃や占領が続いていて連絡を取るのも難しい状態です」
現在オレーナさんは、ウェディングドレスのレンタル専門店「アンナマリア」で働く場所を提供してもらっています。ウクライナではネイリストとして働いていました。日本の知人を通じて2022年12月からネイリストとして働くようになったのです。

(アンナマリア・瀬川由美香代表)
「最初はボランティアという気持ちで場所の提供をしようと思っていたが、すごく高い技術でびっくりしました。こういった形で知ることによって、就労の機会を見つける助けになれば」
ネイルアートの料金は3000円から。ここで働けるのは、毎週火曜日と隔週の土曜日だけですが、わずかな収入でも生活の大きな支えになります。
(客)
「すごくテンション上がりました。私もうれしいし(避難民の)支援になったらすごくうれしい」

オレーナさんは、仕事のサポートしてもらい本当に感謝していると言います。ウクライナと日本では好まれるネイルのデザインが少し違うので、今は日本人の好みに合わせたネイルのデザインも勉強しているそうです。
ウクライナにいたときと同じ味付けで祖国に思いをはせる

オレーナさんは自宅に帰るとすぐに夕食の準備です。この日のメニューは魚のムニエルに、サラダ、そしてマッシュポテト。
(ウクライナから避難 オレーナ・デルカッチさん)
「ウクライナ人は日本人が麺を食べるようにジャガイモを食べる」

ウクライナにいた時と同じ味付けで、祖国に思いをはせます。オレーナさんの料理で一番何が好きかを聞いてみると、長女・オレクサンドラさんはケーキと答えました。オレクサンドラさんは、2023年4月から地元の公立中学校に進学する予定で、授業について行くために日本語を猛勉強中です。