未知の部分が多いウイルス 時計の針が止まったように・・・

季節は春にさしかかっていたが、世界には長い間、春が訪れなかった。
全国の小、中、高校で一斉休校となり、選抜高校野球は中止、さらに4月には緊急事態宣言が出され、社会全体の時計の針が止まったようだった。
人々の交流は途絶え、孤独が広がり、マスクが顔の一部となって表情が失われた。

この間には様々なコロナ対策が実施された。
三密回避、マスク着用、手指消毒、換気の徹底、アクリル板の設置など、多くの日本人は国の要請に従った。

2021年の春からはワクチン接種もスタート。
リスクが高いと見られた高齢者と基礎疾患のある人から接種が進められ、次に年齢の高い順に接種券が送られた。
菅政権の「1日100万回接種」という目標の下、各自治体は接種を積極的に推進した。

当時接種率が低かった20代から30代を対象に、2回接種した若者世代に抽選で自動車や旅行券をプレゼントする県がでたり、ワクチンパスポートと呼ばれる接種証明書を提示しないと入国できない国もでたりするなど、ワクチン接種が強く推奨される社会へと変化した。

あくまでも任意、つまり最終的な判断は個人に委ねられるという原則が忘れられ、「努力義務」という表現が、接種を義務であるかのような誤解を与えた。
コロナへの不安や同調意識の強い国民性も影響し、接種率は80%を超えた。