燃料費の高騰で電気代やガス代の値上げが続いています。国は「節電」を要請していますが、さらに今後「節ガス」も要請されるかもしれないのです。苦境に立たされる、名古屋市内の銭湯を取材しました。
名古屋市守山区にある銭湯「ぽかぽか温泉 新守山乃湯」。10種類以上のバリエーション豊かなお風呂が人気ですが、松井勇樹店長は「去年の同じ時期と比べて、約1.5倍のガス代の請求があった」と話します。
(ぽかぽか温泉 新守山乃湯 松井勇樹店長)
「去年の夏は平均30万円台のガス代だったが、ことしは50万円台に乗ってしまった」
ガスで湯を沸かしているため、ガス代の高騰は経営を直撃。併設するコインランドリーでもガスを使っていて頭を悩ませています。
この苦境を乗り切るため苦渋の決断をしました。
(ぽかぽか温泉 新守山乃湯 松井勇樹店長)
「(お湯は)夏場でも40.5℃だが、ことしは0.5℃度下げて40℃に設定した。シャンプーや石けんは50円で販売しているが、若干値段を上げなければならない」
国は「節ガス」要請の制度を検討
さらに懸念しているのは「節ガス」についてです。国は7月に入ってガスの利用の節約、いわゆる「節ガス」を、企業や家庭に要請する制度について検討を始めました。背景にあるのが、ロシアのウクライナ侵攻の影響。
(ぽかぽか温泉 新守山乃湯 松井勇樹店長)
「お客様のためにやってるので『節ガス』と言われてもなかなか厳しい。言葉は悪いが『ふざけんな』という気持ち」
都市ガスの原料にもなり、発電にも使うLNG、液化天然ガスについて日本はロシアから全体のおよそ9%を輸入していますが、このガスの安定的な調達が難しくなる可能性があるのです。
そこで国は、需給がひっ迫した場合に備え、家庭や企業に「節ガス」を求めた上で、需給が危機的な場合には「使用制限令」などを出すことも検討するといいます。松井店長は「もしそうなったら、営業時間の短縮も考えなければならない」と話します。電力と違って「節ガス」を要請する仕組みはこれまでなく、不安を隠せません。
聞きなれない「節ガス」という言葉。街の人は知っているのでしょうか…。
(街の人)
「初めて聞きました」
「えー節ガス…あまり意識しいたことはない」
「お風呂だったら、シャワーにするとかですかね?」
節電に続く「節ガス」…。負担はさらに増すのでしょうか。