4月に行われた第52回(2023年度)日本漫画家協会賞で、「まんが王国とっとり賞」をある漫画が受賞しました。「メイドインアビス」。作者のつくしあきひとさんに独占インタビューすると、鳥取にゆかりのある漫画にインスピレーションを受けていたことも分かりました。
神奈川県出身のつくしあきひとさん作「メイドインアビス」。
「WEBコミックガンマ」で連載されていて、単行本は11巻まで発売されています。(2023年4月現在)

舞台は、人類最後の秘境と呼ばれる謎の多い巨大な縦穴「アビス」。
そこに未知へのロマンを求め、あまたの探窟家たちが深く潜り続ける中、かつてアビスの深部に消えた母親・ライザの消息を追う主人公の少女「リコ」と記憶喪失の機械人形(ロボット)「レグ」が生と死をかけた冒険をする、話題のダークファンタジーです。
この「メイドインアビス」。日本漫画家協会が主催する今年の日本漫画家協会賞で、さらなる発展が期待される作家や作品に贈られる鳥取県協力の賞「まんが王国とっとり賞」に選ばれました。
既存漫画の手法とは一線を画す冒険ファンタジー。柔らかなタッチの可愛い絵柄と、ダークな展開のバランスが醸す圧倒的な世界観が評価されたということです。

鳥取県まんが王国官房 岡山佳文 官房長
「絵はなかなかにかわいいんですけど、結構世界観が奈落といいますか、深い所にありまして、そのあたりが寝転んでみるというよりは、しっかり正座をしてみたい作品です」
そして今回、作者つくしあきひとさんに独占でオンラインインタビューすることができました。

ーーー受賞された今の心境は?
「賞とは無縁の漫画だと心から思っていたので『本当に大丈夫か?』と思う反面、ものすごくうれしかったです」
ーーーまだ見たことがない人に向けて、「メイドインアビス」はどういう物語?
「キャッチ―な部分だけ説明する方がいいですね。
あらかた秘境とか踏破された世界に、唯一最後に巨大な謎の大穴が残されている。底が見えないんです。底の見えない大穴に子どもたちが挑むファンタジー。しかし、この大穴が深く潜ってしまったら二度と戻ってこられないと。深く潜って戻ろうとすると血を吐いたり死んでしまうので、物理的に戻れなくなる。
そんな大穴にわくわくする冒険をして、どうにもならなくなる物語です」
ーーー「メイドインアビス」のストーリーを思いついたきっかけであったり、インスピレーションを受けたものがあれば伺いたいです。
「これは、まんが王国とっとり賞に選んでもらったから言うわけではないんですけど、「神々の山嶺」という漫画がありまして、作画を谷口ジロー先生(鳥取県出身)がやっていらっしゃるんですけど、この漫画を読んでいたく感激して、こういう話が描きたいと思って始めたというのがあります」
ーーーつくし先生からみると「神々の山嶺」はどのような物語?
「端的に言うと、山に登ることしかできないやつが山に登る話です。本当にそれ以外できない。この人が前人未到の挑戦をするのを、後からカメラマンが追っかけていく話です。圧倒的です」