2月24日で、ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経過します。ロシア政治の専門家で、島根県立大学の客員教授を務める、島根県大田市出身の中村逸郎教授に話を聞きました。

Qまもなく1年。率直に、今どのように感じていますか?


中村逸郎 教授

「ウクライナという国が潰されるのではないかととても心配しています。ロシアによる、全土へのミサイル攻撃でインフラ施設を中心に破壊されているので、ウクライナ全土で停電や断水といった、非常に深刻な状況になりつつあるということです」

Qいまのウクライナ国民、ロシア国民の生活はどういった状況でしょうか?

中村逸郎 教授

「ウクライナ国民の全人口の約40%に相当する、1800万人が家を失ったということで、とても深刻な状況です。昨年末、5歳の男の子が両親を失い、一人で首都キーウからポーランド国境までの400キロを泣きながら歩いて避難する様子をCNNが報じました。一方、ロシアは「ウクライナに非人道的な攻撃を加えている」と祖国を見限って、外国に出国する人が約900万人にも達しているということです。経済制裁もガンガンに効いていますから、失業したり、無給休暇に追い込まれた人を合わせると、約20%の人が実質的な失業の状況です」

Qなぜ、これほどまで、戦争は長期化しているのでしょうか?

中村逸郎 教授

「当初私は去年6月末には終わると思っていました。侵攻当初に投入されたロシア軍兵は15万人ぐらいですが、今の死傷者は20万人に達していると報じられていて、当初のロシア軍は壊滅したと言われています。そうしたなかで、昨年9月には、部分的動員令という名において、30万人のロシア人兵士が招集されました。さらに、ロシアの友好国であるイランからドローン、北朝鮮から500人の兵士が動員されて、なんとか戦闘を継続できている状況です」