一刻を争う患者の元へ向かうドクターヘリ。
鳥取県米子市の鳥取大学医学部附属病院でのドクターヘリ出動要請は年間500件です。10月そのドクターヘリが飛べない事態となりました。緊急事態に備え、その時病院では…緊迫の現場に密着しました。
「コードブルー コードブルー エンジンスタート コードブルー コードブルー エンジンスタート」
通報を受け、一目散にドクターヘリに乗り込む医師たち。
「声出ますか?落ちた時のこと覚えとられる?」
鳥取大学医学部附属病院高度救命救急センター。24時間体制で重症患者を受け入れる、いわば、地域医療の最後の砦です。緊迫の現場に密着しました。
救急要請があったのは80代男性。脳卒中の疑いで緊急搬送されました。
ヘリから降ろすとすぐに医師たちが治療の準備を始めます。
医師
「わかります?わかる?こっちぐーぱーできる?」
「手動かして、ぐーぱーぐーぱーできんかな?ちょっと痛いよ」
医師が乗り込むことで1秒を争う患者に対応するドクターヘリ。
2018年から鳥大病院を拠点にドクターヘリが運航されていて、年間500件ほど出動します。
鳥取県内だけでなく島根県東部など、広い範囲をカバーしていますが運航を委託されている会社の整備士不足を原因に7月には1週間、10月は5日間の運航休止を余儀なくされました。
鳥大病院のドクターヘリが運航休止となるとエリアに一時的に空白地域が生まれることになります。
鳥取大学医学部附属病院 高度救命救急センター 上田敬博 センター長
「今のところ不利益が出ていないが、いつ不利益が出てもおかしくないという状況は変わりないので、そういう不安な状況はなくしたい」
幸い今回の運休期間中はドクターカーなどで対応できましたが、不測の事態は、突然やってきます。
鳥取大学医学部附属病院 高度救命救急センター 上田敬博 センター長
「例えばドクヘリで3分から5分で行けるところはドクターカーでは30分から45分かかるわけです。同じような重複事案が発生したり遠方あるいは他方で緊急事案が発生した時に同時に対応することができないという難しさがあります。ドクヘリであれば次の事案にすぐに対応できる」
「コードブルー コードブルー エンジンスタート」
先ほどの患者の処置が終わると息つく暇もなく次の要請がかかります。
搬送されたのは脳卒中が疑われる60代の男性。
医師
「持病無しで小さいころに心不全の指摘を受けたことがあるみたいだけど、今は治って全く持病もなし常用薬もなし」
男性は脳出血があったため、重症化リスクの高い患者を受け入れる高度治療室に入院することになりました。
鳥取大学医学部附属病院 高度救命救急センター 上田敬博 センター長
「本当の意味での最後の砦なので、この鳥取大学医学部附属病院が断るということはできない。この病院が継続して十分な質の高い医療を提供するということを維持しないといけないということで、非常に重い使命を持っているんじゃないかなと思います」
年間500件と言えば1日1件以上。その1件とは、あなたの大切な1人の命とも言い換えられます。


 
        





 
   
   
  






