島根県松江市の国宝松江城近くで建設が進んでいる、天守に匹敵する高さの高層マンションについて、反対する住民グループらが12日、工事中止を求める仮処分命令を松江地方裁判所に申し立てました。

建築工事禁止の仮処分命令を申し立てたのは、高層マンション建設に反対して来た住民グループの「まつえ/風景会議」のメンバーや周辺住民など41人です。

高層マンションは完成すると19階建て高さ約60メートルの計画で、松江城天守と並ぶ高さになる見通しです。現在は13階部分の工事中と見られます。
申立書では仮処分が認められる時期を見越して、建設している京阪電鉄不動産(大阪市)らに15階に相当する地上44メートルを超える部分の工事をしてはならないとの命令を求めています。

まつえ/風景会議のメンバーらは市内で会見し、マンション建設を市が認めたのは、市の初期対応の不手際により「景観手続きをすり抜け」た結果で誤ったものだったと批判。そして市中心部で最も高い19階建てマンションが完成すれば、市民の良好な景観を享受する権利(景観利益)が損なわれ、城の世界遺産化の道も閉ざされるなどと主張しました。

そして司法手続きを取ることによって、国宝松江城を取り巻く問題を全国に知らせることも目的の一つで、仮処分命令に次いで、9月中に工事中止を求める裁判(本訴訟)を起こす考えも明らかにしました。