聴覚障害者のバスケをデフバスケットボールと言います。
現在、オーストラリアではアジア太平洋大会が開かれていて、米子市の高校生・中嶋寿道さんが日本代表として派遣されています。
音のない世界で戦うバスケとは一体、どんなスポーツなのでしょうか。

ボールが跳ねる音や足音。そして、ブザーなどが一切聞こえない音のない世界で戦うバスケ「デフバスケットボール」。
その日本代表が米子市にいます。

中嶋寿道さん18歳。補聴器を着けないとほとんど音が聞こえない「高度難聴」という障害のある高校3年生です。

中嶋さんが現在派遣されているのがオーストラリア・メルボルンで開催中のアジア太平洋大会。

日本代表は2試合が終了していて現在1勝1敗。メダル獲得を目指し、24日はオーストラリアと対戦しています。

デフバスケットボール日本代表 中嶋寿道さん(境高校3年)
「初めての国際大会に選んでいただいて、自分のこれからの将来的にも、大事な大会かなと思います」

耳が聞こえない、もしくは聞こえにくい聴覚障害者がプレーするデフバスケ。

プレー中の補聴器の着用は禁じられているため、選手は手話やハンドサイン、アイコンタクトなどでコミュニケーションを取り、審判は旗などを使って選手に必要な情報を伝えます。

生後3か月の頃に高度難聴を発症した中嶋さん。小学4年から父親の影響でバスケを始めますが…。

デフバスケットボール日本代表 中嶋寿道さん(境高校3年)
「ベンチから、監督とかコーチとかの指示とかも通り辛いってのもあったり、練習メニューが皆わかっていても1人だけわかっていないっていう状態もあった」

その後も、学校の部活動などでバスケを続けてきた中嶋さんがデフバスケと出会ったのは中学3年の頃。

高校1年には強化指定選手に選出され、今回初めて、国際大会の派遣メンバーに選ばれました。

デフバスケットボール日本代表 中嶋寿道さん(境高校3年)
「もし出会ってなかったら高校卒業してからは続けられてなかったかもしれないので、(出会えて)良かった」

孫の努力を近くで見守ってきた祖母・千鶴子さんも万感の思いです。

祖母・千鶴子さん
「感無量なんてもんじゃないですもん。嬉しいですね。こういう体験が自分の孫ができるということに喜びを感じています。勝ち負けはどうでも良いです」

もがき続けて掴んだ世界への切符。
今大会での活躍とともに中嶋さんが見据えるのは、来年、日本で初開催されるデフリンピックへの出場。
そして、デフバスケの知名度向上です。

デフバスケットボール日本代表 中嶋寿道さん(境高校3年)
「(デフバスケをやっているのは)鳥取県内では僕だけだと思う。聴覚に障害があっても、デフスポーツとかデフバケットを知らない人もいるだろうから、もしそういう方がいれば一緒にバスケしてみたい」

音のない世界で戦う高校生の挑戦はまだ始まったばかり。日本は25日、香港と対戦します。