父の帰宅は“家族側のエゴ”か

「家に帰したいというのは、家族側の『エゴ』かもしれない。病院でプロの手に委ね、我が家でなくても『家族』として最期を共にすることができれば、結果として誰にとってもベストな選択になることもある…」 

彼はそう言葉を継ぎました。

それは、医療現場で多くの死を見つめてきた彼なりの、残される家族を想う精一杯の優しさでした。

家で看取れば、母は「看護師」や「介護士」を演じ続けることになるでしょう。
でも病院に任せれば、母は最期にようやく、「妻」に戻って父に別れを告げられるということなのかもしれません。