規制の緩和で、大規模な再開発が進む福岡市。しかし、企業誘致に当たっては、再開発ビルへの入居に掛かる初期費用が、企業進出のネックとなっています。一部では、5000万円程度かかる敷金を無料とするキャンペーンも始まりました。
◆最新高層ビルのオフィス入居率は6割
福岡市の再開発事業「天神ビッグバン」の目玉の一つとして、2023年4月に大名小学校跡地に開業した「福岡大名ガーデンシティ」は、地上25階、高さ約111メートルの高層ビルで、上層階には九州初進出となる高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」が入居しています。3階と5階~16階は最先端のセキュリティなどを備えたオフィスフロアになっていて、外資系の企業の入居なども期待されていましたが、開業から8か月以上が経った今も、入居率は内定も含めて約60%にとどまっています。
福岡ビジネス地区の賃料は2023年12月末時点で1坪あたり1万1550円ですが、福岡大名ガーデンシティは1坪あたり3万円台のため、高い賃料がネックとなっているとみられています。キャッシュレス決済を手がける大手金融会社も、2024年3月末までの入居を検討していましたが、成約までには至りませんでした。
◆敷金5000万円を無料に
そんな中、ビルへの企業誘致を支援しようと、オフィス物件の仲介サービスを行う日商保は、敷金無料で入居できる区画の募集を12日から始めました。対象となるのは7階の3区画で、通常は5000万円程度かかる敷金が無料となります。ビルのオーナーが敷金約5000万円に対して契約年数×5%を負担し、日商保に支払います。日商保の担当者は「入居に必要な初期経費が軽減されるので、事業成長資金に活用できる」と説明しています。
◆天神と博多で相次ぐ大型再開発
福岡市中心部の天神や、博多駅周辺ではオフィスフロアを備えたビルの建設が進んでいます。大規模な再開発を、福岡市は「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」と名付けて推し進めています。
2024年3月には福岡東総合庁舎(博多区博多駅東)の跡地に、「博多コネクティッド」の第2号として、オフィスビル「コネクトスクエア博多」(地上12階)が竣工します。
さらに「天神ビッグバン」では2024年12月に、高級ホテルやオフィスが入居する複合商業ビル「ヒューリック福岡ビル」(仮称、地上19階)が、また福ビル、天神コア、天神ビブレの跡地には「ワンフクオカビルディング」(仮称、地上19階・地下4階)が竣工します。
◆空室率はまだ「供給過多」を示す
オフィス仲介が専門の三鬼商事によりますと、今年の福岡ビジネス地区のオフィス供給量は22万1984平方メートル(6万7268坪)で、過去最高となる見通しです。
福岡ビジネス地区のオフィス空室率は5.19%(12月末時点)で、6か月連続で減少していますが、供給過多の目安となる5%を上回っています。今後さらに増加するオフィスの供給量に対し、想定通りに企業を誘致できるかが注目されます。
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