青森県十和田市が耐震強度不足を理由に廃館とした旧新渡戸記念館の建物について、市が新渡戸家に2024年3月1日に無償譲渡する調停が成立しました。

旧新渡戸記念館は土地などを新渡戸家が所有、建物を市が所有していて、市が耐震強度不足を理由に2015年に条例で廃館を決めました。

新渡戸家側は撤回を求め、提訴する一方、市側も建物の明け渡しを求めて訴えていました。こうしたなか12月28日に裁判所が提示した調停案に双方が合意しました。調停では、2024年3月1日に市が新渡戸家側に建物を無償譲渡することになっています。

記念館として使用する場合は新渡戸家側が改修工事をして、安全を確保した場合に限ることが条件となっています。

以下、十和田市長や新渡戸記念館の館長など関係者のコメント全文です。

【新渡戸記念館 新渡戸常憲館長】
本日、長く続いた十和田市との裁判を、調停による話し合いで円満に解決することが出来ました。ご支援をいただいた方々に心より感謝申し上げます。今後、新渡戸家は、記念館及び新渡戸家の資料を、その価値が失われることのないように管理し、十和田市全体の発展及び教育のために活かしてゆきたいと思います。

【新渡戸記念館を守る会 小田純明氏】
新渡戸稲造博士が太素塚から文化の発信をと願い建造したのが、私立新渡戸文庫。後継が新渡戸記念館である。その意を継いでゆこうと今回の裁判となったが、残念ながら十和田市政の理解は得られなかった。守る会は、これから新渡戸記念館の意を継ぐべく、共に歩んでゆく。

【新渡戸記念館を守る会 保土沢道是会長】
この度の調停成立によって、新渡戸記念館訴訟に決着がつき、新渡戸記念館が取り壊されないという結果がはっきりした事は良かったと感じている。しかし、新渡戸家が2015年に始まった行政訴訟から、これまで一貫して主張してきた耐震診断の再調査と、それに基づいた話し合いがなされることは無く、主張は全く通っておらず、不満ではないかと思う。私自身も、裁判でもそれが解明されなかった事はゆるせない思いだが、新渡戸記念館の今後のために、新渡戸家の決断を支持したいと思う。

【十和田市 小山田久市長】
本日、調停が成立したことは、この事案について一区切りがついたことで、安堵しております。今後は、後世に伝えるべき貴重な資料について、速やかに新渡戸氏と協議、協力の上、所有権の確定作業等を進めてまいります。