イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くなか、パレスチナ自治区ガザで暮らす大勢の市民が犠牲となっています。一方、アメリカ・ニューヨークのユダヤ人コミュニティも批判にさらされ、苦悩しています。
ニューヨーク・ブルックリンにあるユダヤ人たちの礼拝所。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以降、参加する人が増えています。アメリカ社会で“ユダヤ人に対する反感”が強まる中、結束を確かめ合っているように見えます。
記者
「礼拝所のすぐ近くなんですが、たくさんの人たちが集まっています。イスラエルは攻撃をやめろと訴えています」
礼拝所のすぐ近くでは、この日もイスラエルに対する大規模な抗議デモが行われていました。「パレスチナを守れ」という訴えは、ユダヤ人に対する「憎しみ」にすり替えられかねません。
アメリカのユダヤ人団体は、この3週間でアメリカ全土でのユダヤ人への嫌がらせや暴力などが、去年の同じ時期に比べて4倍近く増えたと公表。
世界の都市で最も多くのユダヤ人が暮らすニューヨークでもヘイトクライムは急増し、現地当局によると、ニューヨーク州でユダヤ人を標的にした犯罪は30件を超えているということです。
この礼拝所も、「イスラエルは毎日ガザで子どもを殺している」などと落書きされていました。
“ニューヨークに住むアメリカ人さえ、いまやユダヤ人を憎んでいる”
礼拝に訪れる人の中には、恐怖を感じる人もいるといいます。
ユダヤ教の礼拝所 レイチェル・ティモナー代表
「仲間だと思っていた友人や同僚がユダヤ人の命を軽視しているように感じる。とてもつらいことです」
イスラエルがハマスに対する地上作戦を拡大するなか、SNSなどでは「ユダヤ人は自分たちを守るために、パレスチナ人の犠牲を無視している」という批判が目立ちます。
しかし、イスラエルの最新の世論調査をみてみると、国民の多くがガザへの侵攻を支持しているというわけではありません。
ユダヤ教の礼拝所 レイチェル・ティモナー代表
「私たちは戦争に反対です。戦争は恐ろしいものです。罪のないすべてのパレスチナ人を救い守るため、あらゆる努力をしなければいけない」
この日、集まった人たちからは「イスラエルは国としてユダヤ人を守る義務がある」という声とともに、「人道危機に対処するため、イスラエル政府に一時的な停戦を求めるべきだ」という意見も聞かれました。
ユダヤ教の礼拝所 レイチェル・ティモナー代表
「世の中は“善人か悪人か”というシンプルなストーリーを求めている。しかし実際はそんな単純な話ではない」
終わりの見えない戦闘。イスラエルのネタニヤフ首相が停戦の可能性を全面的に否定するなか、ユダヤ人の孤立は深まっています。
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