アメリカ出張にビジネスクラスを利用して批判された高岡市の角田市長が23日、チューリップテレビの単独インタビューに応じました。帰国後、報道に対する考えを改めるとして当面の間、事前申請を受けた質問に答えるとした事実上の「取材制限」について真意を問いました。
高岡市 角田市長:「まずね冒頭、取材をお受けさせていただく前に出発日の報道で私が何も語らずに出航したとの報道があったという風にお聞きしました」
アメリカ出張から富山に戻ってきた今月15日、角田市長は、突如、空港で待ち受けていた報道陣にこう切り出しました。
角田市長を巡っては、今月9日からアメリカの姉妹都市フォートウェーン市を訪問。財政難で市民サービスが削られる中、ビジネスクラスを利用した訪問団6人の旅費が1人あたり183万円と11年前の6倍に高騰し市民から批判を受けました。
チューリップテレビは今月9日、関心事であるビジネスクラス問題について取材するため富山空港を出発する角田市長にカメラを向けました。
梶谷記者「市長、すみません」
そしてビジネスクラス問題について「触れることなく」出発したと事実を伝えました。
帰国直後、角田市長は空港での囲み取材で集まった報道陣に対し冒頭、報道機関に対する考えを改めるとしたのです。そのうえで事前に取材申請した質問には応じるという事実上の取材制限を行う姿勢を示しました。
角田市長:「当面の間、報道機関の皆様には事前に取材申請をいただきご質問内容をお受けしてしっかりとお答えしたいと思います」
角田市長:「本日は遅くまでありがとうございました」
梶谷記者:「市長一言だけいいですか」
角田市長:「終わりです」
私たちは角田市長に発言の意図を確認するため取材申請を提出。書面での回答だったため再度、カメラで取材に応じるよう求めたところ角田市長が、きのう単独インタビューに応じました。
角田市長:「お願いします。きょうちょっと膝が痛くて。すみません。申し訳ない。疲れでパンパンにはれとんが…」
空港での表情とは一変。にこやかに登場しました。空港での発言は私たちの報道に対してのものだったのか確認すると…。
角田市長「報道は確認していませんね」
毛田千代丸キャスター:「支援者の方にお聞きして」
角田市長:「アメリカで聞きました」
毛田キャスター:「帰ってからはチューリップテレビのいわゆるこの報道だというふうには確認は」
角田市長:「いやしてないですね。はい。基本的にどの報道も、ごめんなさい。あまり見てないです。少し私自身もですねこのビジネスクラスに乗ったというようなところで大変ちょっと心がそんなにいい状況じゃなかったのでなるべく行って帰ってきて公務に支障がないようにするためにも、そういった選択をしていたという事実もあります」
報道された内容を確認しないで発言したことを認めました。ビジネスクラス問題については、市に220件のメールが寄せられ、そのうち9割以上が苦情や批判でした。
角田市長:「やっぱり賛否の声があるっていうのが人間にとってつらい状態だなと思ってます。当然政治家というのは賛否を乗り越えてやっていかなければいけない仕事だと思っていますが、大変つらい時期だったなと思って今振り返っています」
事実上の取材制限を行うとの発言については。
毛田キャスター:「事前に出した質問にしか答えないのは事実上の取材制限に当たるのではないかと考えますけども、市長の認識を伺います」
角田市長:「決して取材に応じないとは申し上げておらずですね。ぜひしっかりと向き合う時間を作らせてほしいという思いでこういった発言をさせていただいているので私自身は決して取材制限をかけてるつもりもありませんし、これからもお声がけいただければ、しっかりと応じていきたいと思っています」
帰国直後は「当面の間報道に対する考えを改める」と表明していましたが─。
角田市長:「これはねちょっと誤解があるなと思って僕も受け止めて大変反省してる部分なんですけど、むしろね僕はね取材の機会を増やしたいと思ってるんです。僕はね、全くもって後ろ向きな議論をしてるつもりはないんですよ。ただ、あのときの表情が暗かったの多分純粋に疲れてたんだと思います」
誤解があったとしたうえで反省していると述べました。そして、今後は、定例の記者会見を2回に増やし、記者からの質問を自由に受けつける考えがあることを強調しました。
角田市長:「もちろん私が何か不祥事を起こした際にはバンバン来ていただいていいのでそれは全然構いません」
角田市長は帰国直後、今後、記録用として報道機関の取材活動を撮影する考えも示していましたが、この発言の前から空港で市の職員が記者にカメラを向ける様子がみられました。
毛田キャスター:「これは市長の指示だったんでしょうか」
角田市長:「私が指示したことではないわけですけども、このご質問をいただいて確認をさせていただきました。職員の方で何が起きてるかっていうことが理解できておらずですね、とにかく証拠というか、自分のスマートフォンで録画をしておかなければいけないという思いで撮影をしたというふうに報告を受けております」
毛田キャスター:「僕らの想像としては市長が8日(出発前日)の時点でそういうふうに市の職員に指示をして9日そういう撮影に至ったのかなと思ったんですけど」
角田市長:「全然違います。ごめんなさい。これちょっとちゃんと質問のアンサーを持っておりませんでした。ごめんなさい」
角田市長は元民放の記者です。報道の役割はわかっていたはずでは・・・。
毛田キャスター:「報道機関の役割は当然ご存知だと思いますけどもやっぱ権力の監視ってのは一つ側面として必ずあって、そこに今度逆に撮影するっていう行為っていうのはそのメディアに対するその圧力とまでは言わないですけど萎縮に繋がる行為になりかねないんじゃないかというふうにも思うんですね」
角田市長:「そうですね。それはよくないと思いますので私の方で確認をさせていただいて、そのような映像があるのであれば、必ず削除させていただきますし、削除した旨をまた御社にもお伝えしたいと思います」
ビジネスクラスをめぐる報道から事実上の報道制限に広がったこの問題、、今後は事前申請がなくても取材には応じるとの見解を角田市長は示しました。
角田市長:「取材を受けますんで、受けるんで、受けるからこそ、しっかりと答える場を皆さんと一緒につくっていきたいなと思っています」