シリーズ「現場から、」です。人手不足が深刻な介護業界で先日、ネパール人の施設長が誕生しました。外国人が施設長になるのは全国的にも珍しく、ロールモデルとして奮闘しています。
福岡県糸島市の特別養護老人ホーム「みなかぜ」です。朝礼であいさつをしているのはネパール人のチャウダリ・サロジさん(32)。今月からこの施設の施設長を務めています。
特別養護老人ホーム「みなかぜ」 チャウダリ・サロジ施設長
「家族からも安心してもらえる、自分のお父さんお母さんが『みなかぜ』にいてよかったと思ってもらえる『みなかぜ』を作っていきたい」
サロジさんは9年前にネパールから来日し、職場見学の際に高齢者から言われた「ありがとう」の言葉に感動して介護の道に進みました。
サロジさん
「モデルさんやけんね。美人さんやけんさ」
働き始めた当初は言葉の壁にぶつかりました。特に戸惑ったのが方言でした。
特別養護老人ホーム「みなかぜ」 チャウダリ・サロジ施設長
「普通は『何をしていますか』で習っていたはずなのに、『なんしようと』と言われて、ちょっとすみません、わかりません、もう一度お願いしますと」
特別養護老人ホーム「みなかぜ」 中村浩前施設長
「(外国人は)言葉で最初に通じにくかったところがあるからこそ、心と心でコミュニケーションをとろうとしているというところが私たち日本人には無いところかなと」
サロジさん
「私と一緒に立ってくださいね」
この施設を運営するグループで外国人が施設長になるのはサロジさんが初めてで、全国的に見ても珍しいということです。
社会福祉法人今山会 朝野愛子統括施設長
「ロールモデルになってほしいという思いがあります。(外国人にも)チャンスを与えたいし、みんなのモチベーションになればいいかなと思っています」
厚生労働省によりますと、日本で介護の仕事をしている外国人は年々増えています。サロジさんのように国家資格を取得し、在留資格「介護」で働く人がおよそ6000人、「特定技能外国人」や「技能実習生」などをあわせるとその数は4万6000人に上ります。
こちらは介護職員の数と介護を必要とする要介護認定者の数を示したグラフです。2021年度には要介護認定者の688万人に対し、介護職員は215万人と要介護認定者の増加に介護職員の数が追いついていないことがわかります。
施設長の業務は多岐にわたります。忙しい中でもサロジさんが大切にしているのがひとりひとりとの会話です。
サロジさん
「もうすぐおやつの時間やけんね、もう少ししたら起きてもらおうかな、きょうはにぎやかやね」
世界が経験したことがないスピードで少子高齢化が進む日本。サロジさんのような人材を育成していくことが、今後ますます重要となっていきます。
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