ビッグモーターの不正請求問題でJNNは、損保ジャパンがビッグモーターが修理する車について、通常、調査員が行う「損害の査定」を省略することを決めた内部文書を入手しました。
不正請求の問題発覚後、業績が急速に悪化しているビッグモーター。高額な賃料を削減するため東京・港区の六本木ヒルズから本社を移転することが明らかになりました。
JNNは不正請求拡大のきっかけになった可能性がある重要な内部文書を入手しました。
「重要通知」
2019年3月にビッグモーター社内で通知されたLINE。
「4月1日よりSJNK様のご協力により、全29BP工場は完全査定レスとなり大幅に業務効率が上がります」
SJNKとは損保ジャパン日本興亜。のべ43人の出向者を出すなど、ビッグモーターと親密な関係だった損保ジャパンの当時の社名です。文章は次のように続きます…
「保険会社による損害調査が無くなり、当社主導で、入庫後ノンストップで作業着手が可能になる」
「兎に角、今まであった連絡待ち等の無駄な時間が完全になくなり入庫から納車までノンストップで完了する」
「通常の」自動車保険で必要な損害の査定を、損保ジャパンの調査員が行わないことを通知する内容です。ビッグモーターが大幅に業務効率が上がると胸を張る「完全査定レス」。
私たちJNNは損保ジャパン側の資料も入手しました。2019年4月1日に損保ジャパンからビッグモーターに宛てた資料。図の上段には、「現状の対応」としてビッグモーターが見積もりを作成し画像を送信した後、損保ジャパン側が損害調査を行う仕組みとなっています。しかし…導入後の対応では損保ジャパンの損害調査の工程が姿を消しています。損保ジャパンが関与せず、ビッグモーターの“言い値”で保険金の支払いが決まりかねない仕組みとなっているのです。
また、別の内部文書では損保ジャパンの狙いが記されていました。
「ビッグモーター社におけるプレゼンスアップに繋げる」
関係者は、損保ジャパンの対応に首をかしげます。
関係者
「保険会社としての根幹業務の査定をやらないというのは一線を越えている。なぜそんなことをビッグモーターに導入したのか、理解できない」
ビッグモーター 兼重宏行 前社長(今年7月)
「ゴルフボールを靴下に入れて振り回して損傷範囲を広げて水増し請求する。許せません」
来週19日に、ビッグモーターと損保ジャパンへの立ち入り検査に踏み切る金融庁。
鈴木俊一 金融担当大臣
「保険請求があった時に保険会社でも、請求が正しいものかどうかをチェックしなければならない。それを簡易な方法で、場合によってはほとんど言われたままの保険を払っていたかもしれない」
損保ジャパンが査定を省略した仕組みを導入し、ビッグモーター主導による修理が可能になったことが、その後の不正請求の温床になった可能性があるとみて、導入の経緯や当時の経営判断について詳しく調べています。
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