東京電力・福島第一原発の処理水を海洋に放出する方針をめぐり、政府は関係閣僚会議を開いて、あさって24日にも放出を開始することを正式に決定しました。

きょう、総理官邸で行われた関係閣僚会議。この場で岸田総理は、処理水の海洋放出について「国際社会の正確な理解が確実に広がりつつある」としたうえで、あさって24日にも放出を開始することを決めました。

岸田総理
「気象・海象条件に支障がなければ、8月24日を見込みます。(漁業者の)生業継続に対する不安に対処すべく、たとえ今後、数十年の長期にわたろうとも、ALPS処理水の処分が完了するまで、政府として責任をもって取り組んで参ります」

政府は、28日に予定される「福島復興再生会議」の前の放出を目指し、日米韓首脳会談の開催が決まった先月後半から段取りを水面下で調整していました。

福島では、来月から底引き網漁が解禁されるため、その前に放出を開始し、1週間程度モニタリングのデータを集めて、漁業の安全性をアピールする狙いもありました。

政府関係者
「数値を見せて安全性を示す。トリチウムもごくわずかで海中に放出するから、元々問題はない」

ただ、処理水をめぐっては、国と東京電力は2015年、「関係者の理解なしにはいかなる処分もしない」と漁業者に約束していました。福島の漁業者は憤りを隠せません。

漁師 小野春雄さん
「あまりにもおかしいですよ。話し合いをして我々が納得して流すんだと私は思っていたんですよ。一国の総理大臣が、なんで約束破るの」