北朝鮮による拉致の疑いが指摘されている「特定失踪者」大澤孝司さんの兄・昭一さんが新潟県警に要望書を提出しました。求めているのは「弟は拉致された」と表明してもらうことです。

“特定失踪者”大澤孝司さんの兄・昭一さん(87)

【大澤昭一さん(87)】
「今までにない形の内容のお願いもしました。それも、これも、とにかく『もうここしか私のお願いする場所はないな』という気持ちで」

新潟県警本部を訪れた大澤昭一さん(87)。
要望書を提出し、弟の孝司さんの失踪は「拉致である」と表明すること、その上で改めて捜査を進めることを求めました。

“特定失踪者”大澤孝司さん

昭一さんの弟・大澤孝司さんは1974年2月、新潟県職員として赴任していた佐渡市・当時の新穂村で行方不明になりました。北朝鮮による拉致の疑いが指摘されていますが、政府が認定している「拉致被害者」には含まれていません。

2013年、当時の拉致問題担当大臣が曽我さん親子の拉致現場の視察に合わせて、歴代大臣として初めて孝司さんの失踪現場を視察した際には…

【大澤昭一さん】
「大臣、この現場を目に焼き付けておいて、今度は大臣が北朝鮮と折衝する時期が来ましたら『大澤孝司はここで拉致されているんだから、早く帰せ』と大臣の方から強く要請してください」

49年もの長い間、弟を探し続けてきた昭一さんですが、拉致被害者と「認定」されないことに苦しめられてきました。新潟県警に「拉致であると表明すること」を求めた要望書を提出するのは、今回が初めてです。

【大澤昭一さん】
「せめて私が生きている内に日本政府が『お前を拉致として認めてくれたよ』、『まだ日本政府はお前を全然見捨ててはいないぞ』という言葉を何とか弟にかけてやりたい」

87歳の昭一さんから要望書を受け取った新潟県警外事課の答えは…

【特定失踪者問題調査会 荒木和博 代表】
「『答えられるかどうかも答えられない』『時間をください』と。警察が『これは拉致である』とはっきり判断すれば政府の方では法律上の支援法に基づく認定ということになるので、(警察が)判断するというのは当然の責任だと思う」

岸田総理は7月上旬にも曽我ひとみさんと面会する方向で調整を進めていて、昭一さんは「特定失踪者」の問題も進展することを期待しています。