第69代横綱・白鵬の宮城野親方が相撲の普及や発展を願い、現役時代から始めた少年相撲大会「白鵬杯」が今年も東京・両国国技館で行われた。今大会は3年ぶりに海外からのチームも参加、小中学生・約920人が出場した。

海外チームの中には、ロシアから侵攻を受けるウクライナの子どもたちがいた。

ウクライナはアマチュア相撲の強豪国で、国際総合大会「ワールドゲームズ」においては、6階級で金2個を含む計6個のメダルを獲得。
大相撲で優勝32回を誇る第48代横綱・大鵬はウクライナ人の父を持ち、晩年、ウクライナを訪れた際に行われた相撲大会がその後、「大鵬幸喜大会」と名付けられたほか、2011年には日本との友好に貢献したとして「友好勲章」を受章している。

今大会は小学5年から中学3年までの5人が、2日がかりで来日。大会前日には、宮城野部屋で四股やすり足などの直接指導を受け、親方と一緒にちゃんこも食べた。15歳のチュグン・エゴール君は身長187センチ、体重170キロの堂々たる体格。先生から教わり相撲を始めて10年、国内では18歳以下の大会で優勝し「日本で力士になりたい」と夢を見ている。参加した子どもたちは「ウクライナには、このような土の土俵がなく初めての経験。稽古だけでなく、本物のお相撲さんを見られて本当に全部良かった!」「最初は、日本に来られることが信じられなかった。来ることができ良かった」「帰ったら、今日のことを思い出して、練習を頑張りたい」と嬉しそうに話していた。

宮城野親方はウクライナの子どもに相撲を通して「しっかりした根を作り、いろんな花を咲かせてほしい」と願い「大変な思いをしているし、よく来てくれたな。勝ち負けより、この大会に参加するのが大事。頑張ってほしい」とウクライナチームを労った。

元白鵬・宮城野親方 「頭で考えて、心で描いていけば、必ず夢は叶うもの」


“君たちは未来への宝だ”を大会テーマに、今年で13回目を迎えた白鵬杯。
先代から受け継いで部屋を持ち、“マゲ”に別れを告げてからは初めての開催となった。「新しいことにチャレンジする、進化するという意味で」と今大会から幼児部門を新たに創設。自らまわしを締めて土俵へ上がり、子どもたちへ稽古をつけたり、みんなで一緒に四股を踏んだ。

土俵を離れれば4児の父でもある宮城野親方。「師匠になると、親心が増す」と、弟子たちに加え、子どもたちに“夢を持ち続けることの大切さを伝えたいと話す。

宮城野親方も来日した当時は175センチ、62キロと小柄で『もやし少年』と言われていたほど。なかなか芽が出ず、モンゴルへ帰国寸前、師匠であった先代の宮城野親方(元幕内・竹葉山)に拾われて角界入り。

そこからいくつもの試練を乗り越えて、相撲界の頂点・横綱へと昇りつめた。

「最初から強くはなかった。夢はひとつじゃなく、沢山持つことが大事。頭で考えて、心で描いていけば、必ず夢は叶うものなので、ぜひとも子どもたちに沢山夢を持って頑張ってもらいたい」。
20か国を超えるとも言われる相撲のある国の子どもたちを招待し、世界一の国際大会をやりたいというこれからの夢がある。自らの経験を踏まえ、今後も後進に伝えていく。