天皇陛下が63歳の誕生日を迎えられました。誕生日に先立って行われた記者会見で、陛下は、皇室に入り30年を迎える皇后・雅子さまに心からの感謝の意を示すなど、45分近くにわたり記者からの質問に答えられました。

【皇后・雅子さまについて】
「雅子が29歳半のときに結婚してから、その人生の半分以上を私と一緒に皇室で過ごしてくれていることに、心から感謝するとともに、深い感慨を覚えます。この30年近く、二人で一緒に多くのことを経験し、お互いに助け合って、喜びや悲しみなどを分かち合いながら、歩んでまいりました」と、陛下は皇后さまに感謝の意を示されました。

【愛子さまについて】
愛子さまについては「学業で忙しい日々を送りつつも、いつも楽しい話題で家庭の雰囲気を和ませてくれ、私たちの生活を和やかで楽しいものにしてくれています」と述べたうえで、「様々な経験を積み重ねながら視野を広げ、自らの考えを深めていって欲しい」と願われました。

【皇室の情報発信について】
宮内庁が検討している皇室の情報発信のあり方については、次のように述べられました。

「皇室に関する情報を適切なタイミングで国民の皆さんに分かりやすくお知らせしていくことも大事なことであると考えます」

そして、その前提としての皇室のあり方や活動の基本は「国民の幸せを常に願い、国民と苦楽を共にすることである」とし、皇室を構成する一人一人が、この役割と真摯に向き合って国民と心の交流を重ねていく中で国民と皇室の信頼関係が築かれていくという考えを示されました。

【地方訪問再開について】
ほぼ3年ぶりに再開された地方訪問については、「地方への訪問も行うことができ、みなさんと直に会ってお話ができるようになったことは、私たちにとっても、とても嬉しいことでした」と述べ、10月の沖縄訪問については「激しい地上戦となった沖縄戦の悲惨さや、沖縄の人々がたどった苦難の歴史に思いを巡らせ、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、それとともに、現在、私たちが享受している平和の有り難さを思い、改めて平和の大切さを深く心に刻みました」と述べられました。

【エリザベス女王について】
去年9月に亡くなったエリザベス女王については、葬儀に皇后さまとともに参列できたことに安堵したとし、次のように述べられました。

「女王陛下には、私の英国留学や英国訪問に際しても、様々な機会に温かく接していただき、幾多のご配慮を頂いたことに重ねて深く感謝しております。それとともに、令和になって、国賓として、御招待を頂きながら、コロナ禍により、女王陛下の御存命中に訪問を果たせなかったことを残念に思います」

【コロナ禍について】
新型コロナについては、引き続き社会に大きな影響を与えているとして、医療関係者やエッセンシャルワーカーに対して感謝の気持ちを伝えるとともに、「生活に困窮にしている人々やその子どもたちなど、社会的に弱い立場にある人々に、心を寄せ続けていきたいと思います」と述べられました。

【世界の紛争】
ロシアによるウクライナ侵攻など各地の戦争や紛争などについて、陛下は「国際社会において、自国のことのみを考えるのではなく、互いの違いを乗り越えるべく対話を重ね、協力しながら問題を解決していくことの大切さを強く感じる」とし、「私たち一人一人が平和な世界を実現するために何ができるのか、改めて問われている」と述べられました。