親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる「赤ちゃんポスト」
2007年5月、熊本市の慈恵病院が「こうのとりのゆりかご」という名で運営を始めて今年で16年ですが、小さな命を救うための活動は広がりを見せていません。
そこにはどのような課題があるのでしょうか?

2022年10月、慈恵病院を訪れたのは、東京で小児科などのクリニックを運営する団体モルゲンロートの職員と区議会議員たちです。

子どもの虐待事件を減らしたいと、2024年の秋に開設予定の産婦人科に「赤ちゃんポスト」を設置する準備を進めています。

医療法人社団 モルゲンロート 小暮 裕之 理事長「医療体制をしっかり整えておけば、安全安心に預かるというところまではできる自信はあるんですけど。うまく特別養子縁組とかに繋げていくところ、出口を作るという部分は始まった後の課題になるかなと」

この3週間後には北海道議会の議員たちも慈恵病院を訪れました。2022年5月、北海道に「赤ちゃんポスト」を自称する施設が開設されたことを受けたものです。

このように全国から視察が相次いでいることについて慈恵病院の蓮田院長は…

慈恵病院 蓮田 健 院長「社会としても受け止めていただいていると言いますか、これも1つの方法ではないかとご理解いただいている表れではないかなと」

これから首都である東京に「赤ちゃんポスト」が開設されれば、より多くの小さな命を救えると考えられます。一方で「赤ちゃんポスト」の運用開始から15年が経った今も、後に続く医療機関は全国にひとつもありません。なぜなのでしょうか?

蓮田 院長「どうだーって。これが正しいだろう!なんて人様に胸張って言えるような状況じゃなくて。かっこ悪いですけどマシな方なんですよ。マシな方の選択の繰り返しであって」