ハンタウイルスの集団感染が疑われているクルーズ船。これまでに少なくとも8人が感染、もしくは感染の疑いがあると明らかになっていて、WHO=世界保健機関は「さらに多くの症例が報告される可能性がある」と指摘しています。

日本人1人を含む乗客乗員およそ150人を乗せ、大西洋に残されたクルーズ船「MVホンディウス号」。ハンタウイルスの集団感染が疑われるこの船について、WHOは7日、5人の感染を確認し、3人に感染の疑いがあると発表しました。うち3人が死亡したということです。

WHO担当者
「最も異例なのは船内で感染が起きていることです」

1人目はオランダ人の男性(70)で、4月11日に死亡。船をめぐり、ハンタウイルスの感染が判明したのは今月の上旬でした。

船の運航会社はこの間の4月24日に南大西洋のイギリス領セントヘレナ島で、この男性の遺体を含む乗客30人が下船していたと明らかにしました。

クルーズ船の船長
「皆さん、おはようございます。大変残念なお知らせですが、昨夜、乗客の1人が急逝されました。悲劇的なことですが、自然死だったとみられています」

船長が乗客に対し、1人目の死者について「自然死だった」と説明していました。

クルーズ船の船長
「医師によると、彼が抱えていた健康上の問題は感染症ではなかった。船の安全は確保されています」

クルーズ船の乗客
「感染症について何も知らされなかったので、みんな安心していました。昼食や夕食もダイニングルームで食べていました。社交イベントやレクチャーも続けられ、誰もマスクをしていませんでした」

その後、死亡したオランダ人男性の妻(69)も不調を訴えて下船しましたが、容体が悪化し、死亡。この女性と短時間接触していたオランダの航空会社の客室乗務員がハンタウイルスに感染した疑いがあると発表されていましたが、WHOは8日、この乗務員は検査の結果、陰性だったと明らかにしました。

急がれる感染経路の究明。WHOは死亡したオランダ国籍の夫婦が乗船前にハンタウイルスの「アンデス株」を持つネズミが生息する地域を訪れていたことを確認したと発表。また、別の感染者から「アンデス株」が確認されたと明らかにしました。「アンデス株」はヒトからヒトへの感染が稀に起きるとされています。

WHO テドロス事務局長
「『アンデス株』の潜伏期間は最長6週間であるため、今後さらに多くの症例が報告される可能性がある」

WHOのテドロス事務局長はこう指摘した上で、「公衆衛生上の脅威は依然として低い」としました。

運航会社によりますと、現在、船内に症状のある人はおらず、船は10日にスペイン領カナリア諸島のテネリフェ島に到着する予定です。