裁判のやり直し=再審制度の見直しをめぐる、自民党内での議論が大詰めを迎えています。法務省は、7日午後から開かれている自民党の部会に、さらなる修正を加えた案を提示。
ヤマ場を迎えた議論は決着するのでしょうか。

■再審制度見直し 法案提出までの流れは?

井上貴博キャスター:
政府が提出する法案が成立するまでの流れを整理します。

(1)所管省庁が原案を作成(今回は法務省)
(2)内閣法制局の審査
(3)与党での事前審査
(4)閣議決定・国会提出
(5)国会での審議・修正→成立

(3)に関して、自民党の場合は、部会(など)・総務会の了承が得られなければ法案は提出できない仕組みになっています。

現状は、自民党による事前審査の段階で、了承が得られず、先に進めない状態になっています。

■“再審見直し”議論 きょうヤマ場 抗告「原則禁止」案を提示

司会
「それでは報道の方々にはここでご退出を願います」

自民党 稲田朋美 元政調会長
「マスコミが退出する前に、私、 一言言わせてもらいたいんですよ」
「なぜなら、マスコミが出た後に議論したときに、何も1ミリもね、私たちの言うこと聞かないじゃないですか」

4月、刑事裁判のやり直し=「再審」に関する法律の改正案について議論する自民党の部会で怒りを爆発させたのは、稲田朋美元政調会長です。

稲田元政調会長
「ほとんどの議員が抗告禁止と言っているにもかかわらず、 それを全く無視している」

問題となっているのは「検察官抗告」。

えん罪が疑われるとして、裁判所が裁判のやり直しを決定した際に、検察官が不服を申し立てることができるという制度です。

やり直しの裁判がすぐに始まらないことになり、自民党の一部の議員から「審理の長期化につながる」として検察官抗告の禁止を求める声があがり、議論が紛糾。

4月に予定していた改正案の国会提出が見送られる事態となりました。

その後、法務省は修正案を示しましたが…

政府案に反対する 井出庸生 衆議院議員
「自民党は法務省のためにあるんじゃないんだぞ!国民のためにあるんだぞ!忘れんなよ!」

修正案でも引き続き検察官抗告が維持されていて、部会はさらに紛糾しました。

■再審無罪となった袴田巌さんの姉 検察官抗告の禁止を訴える

1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑判決を受け、その後、再審無罪となった 袴田巌さん。

5月3日、静岡県内で開かれた講演会で姉・ひで子さんは、検察官抗告の禁止を訴えました。

袴田ひで子さん
「(事件は)私が33歳の出来事。91歳で無罪が確定いたしました。 この58年、国は何をしたでしょう。 悪いものは改正して、 正しい法律にしていただきたいと私は思っております」

そして、7日、半月ぶりに開かれた自民党の部会。

自民党 鈴木馨祐 司法制度調査会長
「30時間近くに及ぶ、大変、自民党らしい闊達なご議論をいただいてきた」
「良い方向性を打ち出せることを私からも期待を申し上げたい」

法務省は検察官抗告の「原則禁止」などを盛り込んだ修正案を示しました。

しかし、修正案には、例外的に検察官抗告を認めることも盛り込まれたことや、法律本体の「本則」ではなく「付則」に加えられていることから、検察官抗告の「全面禁止」や「本則」での明記を求めている議員からは反発の声が上がりました。

■「原則禁止」本則か付則か再調整 国会提出に間に合う?

3時間ほどに及んだ会議では、検察官の抗告の原則禁止を本則に明記するか、付則にとどめるかで、法務省側と自民党側で意見がまとまりませんでした。

自民党 柴山昌彦 元文部科学大臣
「(政府側は)後ろ向きな答弁ばかりでしたので、我々議員としては極めて不本意な答弁だったと思います。やはりしっかりと政治決着が図られるべきと考えています」

自民党 鈴木馨祐 司法制度調査会長
「(抗告の原則禁止を)付則に置くのか本則に置くのか、まだ政府との調整等も必要な状況でありますので、いったん私調査会長と部会長で、本則にするかどうかも含めていったん預かると」

終了後、鈴木司法制度調査会長は、抗告の原則禁止を本則に盛り込めるか、政府側と調整を進める考えを明らかにしました。

会議前、党幹部の1人からは「これ以上の歩み寄りが難しい場合、提出が見送られる可能性もある」と悲観的な声も上がっていました。

抗告の「原則禁止」をどこに明記するのか、早期に着地点を見いだせるかどうかが焦点で、いまの国会への法案提出に向けた攻防がいっそう激しくなる見通しです。