30日に開幕する第31回全日本高校女子サッカー選手権。1月8日にノエビアスタジアム神戸で行われる決勝は、女子サッカーを盛り上げるための新たな試みとして、同日、同会場でWEリーグ第8節のINAC神戸レオネッサ vs アルビレックス新潟レディースが開催される。
なでしこジャパンで活躍する宮澤ひなた選手(23、マイナビ仙台レディース)も、星槎国際高校湘南(神奈川)在学時に2度、同大会に出場。2年時には2ゴール、3年時はキャプテンとして出場するなど、大会を経験し、飛躍したひとりだ。晴れ舞台を戦う高校生に、宮澤選手がエールを送った。
Q.高校女子サッカーはどんな舞台だった?
宮澤選手:
高校サッカー界にいる以上はそこにいたかった、そこに自分も立ちたかったというか。WEリーグやなでしこリーグでプレーしていて、年間を通して試合をしていくけど、選手権って冬にしかなくて。1年を通してみんなでそこに向かっていく集大成というか、より多くの人に見てもらえる機会でもあったので、そこで自分も勝ちたいと思いながらやってましたし、サッカーをやっている子たちの憧れというか、一度は夢見る場所なのかなとは思います。
Q.3年間で楽しかったこと、辛かったこと
宮澤選手:
楽しかった記憶はあまりないです。高校に入学というよりかは中学から同じ仲間が多かったので、クラブチームの感覚の中、6年間やっていた。その中に選手権が入ってきたりインターハイが入ってきたりっていうイメージだったのかなって。
6年間一緒にプレーできる仲間が多かったので、一生の仲間というか、そういう友達に出会いましたし、恵まれたなって振り返れば思います。楽しいっていうよりかは、厳しかったので、SNS禁止とか。星槎(湘南)に関してはトップチームもあったので、年間を通してオフが2、3日しかなくて。ずっとサッカーをしていたイメージがあります。クラブチームよりもみんなといる時間が長いので、そういった面では楽しかったなというのがありますし、人間性を高められたかなと思います。
Q.今でもその仲間と会っている?
宮澤選手:
会います。サッカーをやっている子は数えるくらいしかいないですけど、アウェイで自分が関東に行くと試合を見に来てくれますし、仙台に実際に遊びに来てくれる友達もいますし、年末も集まろうみたいな話にはなっているんですけど、中々WEリーグの日程と、社会人の日程が違うので。中々会える機会がないんですけど、本当に皆が応援してくれているので、それが自分の励みになっていますし、皆がそれぞれの道に進んでいるのも自分にとっては良い刺激なので。お互いみんな色々な道に進んでいますけど、当時辛い時期を乗り越えた仲間たち。当時はバチバチと言うか、あまり喋らなかった子たちでも、卒業して仲良くなったこともあるので、濃い3年間、6年間だったな。
Q.当時、サッカーは楽しめていた?
宮澤選手:
サッカーを嫌いになったことはないので自分にとっては楽しかったと思いますし、今の自分があるのも、あの時期があったからだと思う。辛い記憶しか鮮明に覚えていないだけで、楽しい時もあったと思いますし、高校サッカーならではというか、そういう時間だったなと。どうしても走りとかって嫌なイメージがありますけど、それを共に乗り越える仲間もたくさんいますし、楽しくサッカー出来たのかなって今振り返ると思います。
Q.サッカー部を通して成長できたことは?
宮澤選手:
毎日同じような生活をしていたので、朝学校に行って、授業を午前中、お昼過ぎまでやって、そのあと練習。夜も練習で帰るのが午後10時、10時半っていうのを毎日繰り返していた。試合が来るたびに何の試合か分からないくらいにオフが無いし、戻りたいとは思わない…。
高校の時から「たくさんの人に応援されたい、愛される選手になりたい」っていうのを掲げるようになって。サッカー選手ってサッカーが上手いだけじゃ誰も応援してくれないっていうのは、高校サッカーをやっていて思いますし、実際に自分たちが楽しく、やりたいことが出来ているってことは、その裏には本当にたくさんの方々のサポートがあって、色々な方々が携わっているからこそ。それこそ選手権も(多くの方のサポートがあって)開催されているんだなってすごく感じるので、本当に感謝の気持ちはすごく大事なんだなっていうのを強く感じました。
監督に怒られた時にグラウンドの端っこに集まって話したり(笑)。今思えば話していてもやるしかないよなって思いますけど、そういう経験があったから自分の考えも変わったのかなって。皆をまとめる力っていうか、一応キャプテンもやらせてもらったので、みんなとのコミュニケーションの取り方とか、そういう所は学べたのかなって、振り返れば思います。
Q.WEリーグでプレーするにあたり、高校女子サッカーの経験が生かされている所は?
宮澤選手:
中学までトップ下、ボランチをやっていることが多くて、足の速い先輩がいなくなっちゃって、フォワードやってみないかという形でフォワードをやり始めて、今までとは違う見え方と言うか、相手との勝負の仕方だったりとか、自分の視野の確保の仕方だったりとか、そういうのは高校サッカーで学んだのかなって。仕掛けることが好きだったので、前向いたらスピードで勝負していましたし、そういう所はベレーザに入っても、怖いもの知らずで出来たというか、自分の持ち味はここだからこれを出そう、というようなモチベーションにもなっていましたし。2年目、3年目となると対策されだして、その段階でまた次のステップに上がっていく感じだったので、自分の持ち味はこれなんだな、長所はここなんだなっていうのはすごく自分の自信になったというか。
当時の経験が今の自分がある理由ですし、成長していける理由になるのかなと思います。今の女子サッカーのレベルも上がっていると思いますけど、その場で皆が一人ひとり出来ること、自分の持ち味だったり、その場の発想であったり、そういう所を全面的に出していけたら次につながるのかなと思います。
Q.高校女子サッカー3年間を一言で表すと?
宮澤選手:
黒板に皆で書いたと思う…。皆「辛い」とか、そういう一言が多くて、よっぽど嫌だったんだねって(笑)。1、2年生の時はすごく長く感じていました。3年生はすごくあっという間でした。すごく大事な時間だったなっていうのと、今の自分がある「原点」という感じ。
Q.高校生にメッセージ
宮澤選手:
今ある時間、今いるスタッフ、親もそうですし仲間もそうですし、色々な方々に感謝の気持ちを忘れずに、3年間ってあっという間だと思うので、全力で楽しんでほしいなって。頑張るというよりかは、自分はずっと楽しむことを忘れないでやっているので、一瞬一瞬を楽しんでほしいなと思います。