緊迫が続くイラン情勢の影響で、世界各国で原油の供給不足が懸念されるなか、各国がロシア産原油の獲得に動いています。ロシアはこの状況をどう見ているのでしょうか。

アメリカがイランに攻撃を始めてから1か月余り。

ホワイトハウス レビット報道官
「大統領は一貫して作戦の期間が“4週間から6週間”だとの目安を示してきた」

トランプ政権は30日、イランへの軍事作戦の期間について、当初想定から変わっていないとの認識を示しました。

こうしたなか、トランプ大統領は石油輸送の要衝ホルムズ海峡の開放をイランに対し強く迫っています。

アメリカ トランプ大統領
「もしホルムズ海峡が通航可能にならなければ、すべての発電所や油田、カーグ島を爆破し、消滅させる」

ホルムズ海峡の封鎖で、世界中で懸念されている原油の供給不足。そこで注目されているのが、アメリカ、サウジアラビアに並ぶ3大産油国・ロシアの原油です。

ウクライナ侵攻以降、制裁の影響でロシア産原油の主な輸入国は中国やインドに限られていました。

アメリカ トランプ大統領
「ロシアがウクライナへの暴挙を続ける限り、ロシアからの原油購入を一切やめてもらいたい」

しかし、今月になって、高騰する原油価格を抑えるため、トランプ政権はロシア産原油について一時的に各国に購入を認めると発表。

フィリピンで輸入が再開されたほか、アジア各国がロシア産原油の購入に向け協議を進めていて、これまでロシアを原油の最大の輸入先としていた中国もさらなる調達に向け動いているということです。また、カリブ海のキューバにも10万トンの原油を積んだロシアのタンカーが到着したということです。

アメリカ トランプ大統領
「もし、今、キューバに石油を送りたい国があるなら、それがロシアであっても私は問題ない」

世界的に拡大しつつあるロシア産原油の購入。トランプ大統領が主張したように、実際、世界の原油価格の抑制となるのでしょうか。

イランの経済に詳しい専門家は。

第一生命経済研究所(経済調査部) 主席エコノミスト 西濵徹 氏
「米国は海上輸送中のロシア産原油購入という限定的条件な上、ロシアの増産能力は湾岸諸国に比べて限定的であり、世界の需給を取り巻く環境が大きく改善することには繋がりにくい見込み」

ロシア産原油購入は世界経済へ大きな改善が見込めない。それどころか、トランプ氏はロシアによるウクライナ侵攻をアシストしてしまっていると専門家はいいます。

朝日新聞 元モスクワ支局長 駒木明義 氏
「ロシアの目から見ると、よろこばしい。今起きている原油価格の高騰、ロシアにとって極めて強い追い風になっている。実は(ロシアは原油を)買って欲しい。そうすることで収入が確保できるし、(ウクライナ)戦争も継続できる」

原油価格を抑えるためなら、どんな手でも使うトランプ大統領。彼のその一言が世界を混乱させています。