北海道砂川市のハンターに対する猟銃所持の許可取り消しをめぐる注目の裁判ですが、原告の猟銃を取り戻そうと、法廷で戦う弁護士も実は、ハンターです。現場を知るからこその熱き思いに迫りました。
11日札幌の白旗山と藻岩山の周辺で始まった、ヒグマの「春期管理捕獲」です。

次世代を担うハンターの育成と人里へのヒグマの出没を抑えるのが目的です。

人とクマの距離がかつてなく近づく中、最前線に立つハンターたちが注目している裁判があります。
北海道猟友会砂川支部長 池上治男さん(77)
「銃を持った以上は人の役に立つハンターでいたい」

北海道猟友会 砂川支部長の池上治男さんは、北海道の公安委員会に猟銃所持の許可を取り消され、処分の取り消しを求めて最高裁で争っています。

池上さんの隣りに寄り添い、法廷での戦いを支えているのが中村憲昭弁護士です。
中村憲昭弁護士
「池上さんがどういう気持ちで発砲したのか、私は理解できます」

なぜ、ハンターの気持ちがわかるのか。実は、中村弁護士もクマやシカの猟銃免許を持つハンターなのです。

猟銃を取り上げられた池上さんとは、特に強い絆で結ばれています。
中村憲昭弁護士
「師匠と弟子との関係だから、(弁護は)業務的な感覚ではやっていない」

2017年に狩猟免許を取得した中村弁護士。銃を買いにいったところ、偶然出会ったのが池上さんでした。
中村憲昭弁護士
「どんな銃を買えばいいか、狩猟はどう始めるのかも分からないという状況で銃砲店に行った。そうしたら池上さんがそこにいた」

ところが2年後、池上さんは猟銃所持の許可を取り消されます。
自治体の要請で砂川に現れたクマを駆除した際、北海道の公安委員会から「住宅に弾が届くおそれがあった」などと判断されたのです。

池上さんは許可取り消しが違法だとして、北海道を提訴。中村弁護士とともに法廷で戦い続けてきました。
中村憲昭弁護士
「(道公安委員会は)弾丸到達のおそれと言うが、高低差を無視して平面図で考えている」

1審の札幌地裁は、池上さんの訴えを認めたものの、2審の札幌高裁は弾が障害物に当たって軌道を変える「跳弾」の可能性を重視し、池上さんに逆転敗訴を言い渡します。

この判決に、北海道内外のハンターの間に「現場が全責任を負うことになりかねない」との懸念が広がりました。

ところが、最高裁は2月、池上さんや中村弁護士らの訴えを聞く場を新たに設定。
この「弁論」は高裁の判決を変えるために必要な手続きで、結論が変わる可能性が高まったことを意味します。

現場のハンターの気持ちを知る、中村弁護士は…。
中村憲昭弁護士
「(弁論が開かれて)ほっとしている。高裁で逆転敗訴を受けたことで、有害鳥獣駆除の現場に混乱を与えてしまった、大変心苦しかった」

法律家として目指すのは、逆転勝訴。ハンターとして願うのは、師匠による猟銃の指導です。

中村憲昭弁護士
「池上さんから『構え方そうじゃない、ああしろこうしろ』と言われるときも、池上さんは(銃を)構えての指導はできない、ジェスチャーだけ。池上さんにはちゃんと銃を持って指導してもらいたい」

師匠とともに歩んだ7年間。その結果は3月27日、最高裁で言い渡されます。













