県有地の賃貸借契約を巡る裁判は山梨県の全面敗訴という判決になりました。
これまでの経緯と県と富士急行、双方の主張をまとめます。

県が富士急行に貸し付けている山中湖村の県有地。

県は賃料を「適正」と判断していましたが、2019年に長崎知事が就任してから「算定に重大な誤りがあった」と突如、方針を転換します。

長崎知事:(2020年11月13日の会見)
従来の主張を撤回し、適切な方法で県有地の価格を算定する必要がある。

県は富士急行に貸している県有地の賃料を現在のおよそ6倍の20億円程度が妥当と主張し、富士急行に対し過去にさかのぼって適正な賃料を求めるとしました。

これに対し富士急行はこれまでの賃貸借契約が有効であることなどの確認を求め去年3月、甲府地裁に提訴します。

富士急行の代理人 関 理秀弁護士:(2022年10月4日の結審)
お互いに約束して、その賃料で合意している。それを後からおかしかったと言っているのが県。
裁判のポイントは「適正な賃料と」「契約の有効性」です。

富士急行は90年以上前の1927年に山林だった440haを借り、別荘地などの開発を行ってきました。
この際、賃料は山林の状態で算定し、その後も県が合意した上で契約を更新し続けていると主張していました。

一方の県は山林ではなく開発した今の状態で算定するべきと訴えていました。

また契約が有効かについて県は「適正な対価なく貸し付けてはならない」とする地方自治法の規定と照らし合わせても「違法無効状態」だと主張。

一方、富士急行は専門家などで構成する県の協議会でも過去、賃料は適正と判断されたことなどから違法の指摘は当たらないと反論していました。