11月9日に投開票される広島県知事選挙。RCCでは「広島の声」として県が抱える課題を伝えていきます。総務省の「人口移動報告」によりますと、広島県は転出が転入を上回る「転出超過」が4年連続で全国最多となっています。特に若い世代の県外転出は県内企業にとっても大きな課題です。人手不足への対応に取り組む企業の声を聞きました。
広島市安芸区の物流会社・瀬野川産業です。主に大手食品メーカーの商品を中国地方のスーパーやコンビニに届けています。

創業50年を超えた会社をリードする立川弘幸社長。4年前、およそ13億円をかけて社屋と倉庫を作り替えました。
立川社長
「全自動です。入荷されたトラックから荷物を降ろしてあとは全自動でラップを巻いてこの中に4000パレット入るようになっています」
商品の保管や管理を自動で行うシステムを導入した背景には、深刻な人手不足があったといいます。

立川社長
「本来この仕事は大体15人でやっていたが、自動化にすることによって今は5人で対応している。人が多くいれば今までどおり(人の手で)やっていたかもしれないが、人がすでに入らないし、これから人手不足はもっと大きな問題になる」
倉庫内作業員やトラックのドライバーを中心に採用活動にも力を入れています。
立川社長
「県内の高校や大学を回って採用活動は行っているが、なかなか(学生が)来ないというのが現状」
女性や若い世代が働きやすいように、社内にはカフェスペースや洗練された会議室を作るなど、職場環境の改善に取り組んできました。また、仕事内容や働き方などの情報発信にも力を入れています。しかし、企業としてできることには限界があると立川さんは感じています。

立川社長
「若い方が広島県を出て行くということはよく言われるが、やはりそういうことも大きく影響しているのではないか」
広島県は国内の移動に限れば転出が転入を上回る「転出超過」が全国最多です。県外に出て行く世代は20代が最も多く、10代と合わせると全体の7割を上回ります。大学進学や就職などのタイミングに多くの若者が県外に流出しているとみられます。
若い人材を確保しづらい中、瀬野川産業ではインドネシアからの技能実習生の採用を2年前から始めました。

技能実習生
Q日本に来てどれくらい経つ?「3ヶ月くらい」
Qもう仕事には慣れましたか?「はい、慣れました」
1000品目以上を取り分けるピッキング作業には、バーコードを読み取るだけで保管場所や品数を自動音声で伝えるシステムを導入しました。
立川社長
「音声を使うことによって、仕事の引き継ぎがなくても、誰でも作業できるようにこのシステムを導入しています」
技能実習生の成長や働きぶりを頼もしく感じつつも、日本での滞在期間が限られるため業務の継承は困難です。IT化や自動化は進んでも、持続可能な会社経営には日本の若い担い手が欠かせません。
立川社長
「人が足りていないところを設備で補うが、やはり人手は必要。機械と人が一緒にやっていくというのがベストだと思う」

立川さんは、人手不足の解消には広島の若者が「地元で働きたい」と思える環境整備が大切だと考えています。行政のリーダーには若者への発信力を期待しています。
立川社長
「色んなシステムを導入するために(行政から)助成金や補助金を出してもらって我々もやっているが、やはり我々だけだと若者に向けた情報発信力が少ない。行政が中小企業、地元の企業と一緒に活動や会議をすれば、現場の生の声が聞くことができ、行政からの情報発信ができるのではないか。そんな機会があれば参加したい」















