耳が聞こえない、聞こえにくいアスリートの国際大会、デフリンピックが11月に東京で開かれます。

この大会に出場するため、20年ぶりに現役復帰した熊本のハンドボール選手を取材しました。

21の競技が行われるデフリンピック東京大会。

そのうちデフハンドボール日本代表は、デフリンピックに初めて出場します。

ダイナミックなシュートを放つのは日本代表の1人、宇城市出身の岩﨑先育選手、42歳です。

サイドアタッカーとして活躍が期待される選手のひとりです。

岩﨑先育選手「デフリンピックは初出場なので緊張しています。
でもまず1勝、勝ちたい気持ちが大きいです」

デフハンドボールのプレーヤーは耳が聞こえない分、アイコンタクトとボディタッチで連携を取ります。

岩﨑先育選手「後ろに選手がいるかいないかなど、耳が聞こえるなら音や声で判断できますが、私たちはそれができないので、見えていないものは判断しづらいです。また、手話はボールを持っていればやりにくいなどコミュニケーションの壁があるなどそういうところが違います」

生まれつき耳が聞こえない岩﨑選手がハンドボールを始めたのは小学5年生の時でした。

岩﨑先育選手「みんな健聴で僕だけ聴こえない中ハンドボールを していました。高校の時が一番きつかった。練習も厳しかったしコミュニケーションの壁もあった」

苦しさを乗り越えて掴んだ熊本県大会ベスト4は、今でも一番嬉しかった体験です。

20歳で理容師になる直前でいったんハンドボールに区切りをつけました。

それから20年。

デフリンピックの東京開催が決まり、ハンドボールは、現日本代表キャプテンの小林優太選手を中心に初出場を目指すことになりました。

ただ経験者は国内でもそう多くはありません。

デフハンドボール日本代表 小林優太主将(24)「少しずつSNSで活動状況を載せて、興味ある人やりませんかくらいの感じでした」 

この動きを知った岩﨑選手は・・・

岩﨑先育選手(42)「20年ぶりに現役復帰しました!ハンドボールが大好きなのでハンドボールができて嬉しい」

20年のブランクがありましたが、晴れて日本代表に選出されました。

実は、16人の日本代表のうち、ハンドボール経験者は7人だけで、岩﨑選手は貴重な人材です。

デフハンドボール日本代表 小林優太主将(24)「同じ立場、耳が聞こえない選手に教えるという点で、分かりやすく言葉を簡単にして伝えるという技術が長けているのでチームにとって重宝している」

今は福岡で暮らす岩﨑選手。

大学の部活動に参加し、ふたまわり近く年下の学生たちとデフリンピックに向けて練習しています。

岩﨑先育選手(42)「20年ぶりなので・・・疲れます・・・」
九州工業大学ハンドボール部員「誰がどこにいるとか足音も聴こえないので分からないですが本当に難しいと思います」
九州工業大学ハンドボール部員「サイドからのシュートが上手いので、ジャンプしまくってシュートをガツガツ決めて欲しい」

デフリンピックのグループリーグは、4日で3試合と過密日程のため、総力戦が予想され、岩﨑選手の経験が大きな力になりそうです。

岩﨑先育選手(42)「世界大会にチャレンジするのでもっともっと上手くなって世界でも注目されるようなシュートを放ちたいので一生懸命技術を磨きたいです」