出入国在留管理庁は、強制送還の強化を目指して掲げている「不法滞在者ゼロプラン」の実施状況を公表しました。

出入国在留管理庁は今年5月、退去強制命令を受けた外国人の速やかな帰国の促進を柱とした「不法滞在者ゼロプラン」を発表。

難民申請が3回目以降の人などを入管職員の護送を伴って国費で強制送還する人数を去年から3年後に倍増させることや、退去強制が確定した外国人の数を2030年末までに半分に減らすことなどを目指しています。

入管庁はきょう、「不法滞在者ゼロプラン」の実施状況を発表し、国外退去を命じる「退去強制令書」が発布された人で、今年1月から8月に送還されたのは4841人に上ったと明らかにしました。

「不法滞在者ゼロプラン」が発表される前後の月平均を比較すると、増加傾向にあるということです。

また、今年1月から8月の間に入管職員の護送を伴って国費で強制送還をした人は203人で、そのうち7人が未成年者、難民申請が3回目以降の人が38人でした。

6月から8月の3か月間では速報値で119人で、2024年の同時期の58人から倍増しました。

国籍別ではトルコが最も多く41人、続いてフィリピンが32人、スリランカが27人などとなっています。

入管庁は、「帰国について入管庁がしっかりやっていることが周知されれば、自発的に帰国される方が増えてくると考えている」としています。

鈴木法務大臣はきょうの記者会見で、「不法滞在者ゼロプラン」に対して人権侵害などと批判の声が上がっていることについて、「不法滞在者を送還していくことは、国民の安全安心を確保するためにも極めて重要だ」と強調しました。