今年は猛暑が続きましたが、水素自動車を使って、熱中症対策に取り組む建設会社があります。新たなエネルギーの最前線を取材しました。

強く照りつける太陽に、ヘルメットと作業服。作業員の顔には、大量の汗が噴き出しています。いわき市の建設会社「渡辺組」が管理する土の仮置き場では、主に市内で発生した土が大型トラックで運ばれてきます。

猛暑が続いた今年の夏。熱中症対策は命に直結します。この現場では、その熱中症対策に水素が使われています。

渡辺組・山田将与執行役員「電気は水素で発電して、その電力を利用している」



飲み物を入れる冷蔵庫や体を冷やすエアコン。約10平方メートルの休憩所で使う電力は、水素を燃料にして走る自動車からの電気でまかなっています。今年6月から導入され、3か月でおよそ400キロの二酸化炭素を削減しました。



環境にやさしいことに加え、こんなメリットも…。

作業員「普通だったら発電機を使って、音もうるさい。水素なら音も静かだしゆっくりできる」

この会社では、別の現場でもこの水素を使った休憩所を導入しています。

渡辺組・山田さん「福島県の2050年カーボンニュートラル宣言があり、業者としてどのように関わっていくかということがあった」

一方で課題もあります。

いわき市内に水素ステーションは1か所のみ。水素自動車のレンタルにもコストがかかります。この会社では、水素発電による照明も試してみましたが、移動に手間がかかることがわかり、本格的な導入は見送られました。

環境への負荷を減らすメリットの一方で、普及に課題が残る水素。今後も模索が続きます。