約300年続き「生活市」としても根付く高知県高知市の日曜市。年々減少する人口に、進む高齢化。その中で伝統を受け継ぎながら、次の世代につなげていこうと、若者たちが販売にチャレンジする取り組みが進められています。
「米ナスは油と相性がえいき、炒め物にして食べてみたら」。
高知市の街路市「日曜市」で、買い物客と店の人との間で交わされる何気ない会話です。日曜市は高知城下の約1キロメートルにわたり、出店が軒を連ねる全国でも珍しい大きな街路市で、多い時では1日に1万7000人が訪れます。
しかし、高知市によりますと「人口減少や高齢化に伴い賑わいが薄れている」といいます。1999年度には「616」の出店があった日曜市は、2024年4月1日時点で「375」と約6割に減少。こうした中高知市は、日曜市が将来にわたり残り、賑わいを取り戻せるようにと、今年3月に「高知市街路市活性化構想」を策定。5年計画で若者と日曜市が触れ合える機会の創出を掲げ、現在、高校生や大学生による街路市への出店などを積極的に受け入れています。
▼高知商業高校社会マネジメント科の生徒
「アサイーボールはいかがですか?」
買い物客に元気な声で購入を呼びかけるのは、高知商業高校の社会マネジメント科の生徒たちです。2020年から地域貢献を目的にジビエ部が日曜市で出店してきたことをきっかけに今回「チャレンジ出店」という企画がスタートしました。学校では5年前からジビエ部の生徒たちが日曜市で販売を行っていますが、ジビエ部のブースの横にもう一つテントを構え、高知商業高校だけでなく、他の学校が出店を希望する際にも対応できるスペースを確保します。
24日は早速、生徒たちが「アサイーボール」の購入を買い物客に呼びかけていました。
▼高知商業高校社会マネジメント科の生徒
「若者だけでなく高齢者にも『新規性』を感じほしくてアサイーボールを売っているけど、なかなか(高齢者には)ヒットしなくて難しい」
それでも生徒たちには日曜市を盛り上げたい理由が。
▼高知商業高校社会マネジメント科の生徒
「前、日曜市でボランティアをした時に、(出店者やお客さんから)食べ物をもらって『頑張りや』とか、『買っちゃう』って言ってくれて助けてもらったから、ちょっとでも恩返しができたらと思って」
高知市も若者による「チャレンジ出店」の取り組みに期待しています。
▼高知市商工振興部街路市担当 陸野祐一係長
「人口減少や高齢化で出店数が減っているのは確か。高知商業高校の取り組みだけでなく、今後、市としても若いうちから、日曜市に触れる機会を増やせるような計画を考えていきたい」
高知市は現在、日曜市を含めた街路市の活性化に向け教育機関との連携のほか、地域おこし協力隊がSNS発信で魅力を発信しています。また「生活市」として地元の買い物客の増加を目指し、街路市の食材を使った料理教室の開催や、キャッシュレス決済を普及・促進させることでインバウンドの増加にもつなげたい考えです。
土佐弁での会話や対面販売で生まれるコミュニケーションが受け継がれている日曜市。伝統を守りながら将来にわたり続けられる日曜市を目指し、市や若者たちによるサステナブルな取り組みが始まっています。














