多くの分断を招いてきたアメリカのトランプ大統領。一族の企業が所有するゴルフ場の視察のためイギリス北部のスコットランドを訪れていますが、その建設めぐっても意見の対立を生み出しています。

母親の故郷・スコットランドを訪れているトランプ大統領。滞在先は一族の企業が所有するゴルフリゾート施設です。厳重な警備のもと、大好きなゴルフを満喫する様子が見られました。

しかし、その一方で…

抗議集会の参加者 
「トランプ氏はスコットランドにルーツがありますが、彼は我々の恥です」

スコットランド各地でトランプ氏に対する抗議集会が開かれ、ガザ情勢への対応や、ゴルフ場開発に反対する抗議の声が上がっていました。

トランプ氏はこの後、北東部アバディーン近くにある別のゴルフ場に移動し、新たなコースの開設記念式典に出席する予定ですが、そのコースの最大の特徴は…

記者
「この地域にはイギリス最大と言われる“(移動する)砂丘”があり、その砂丘を利用して新しいゴルフコースが作られました」

この砂丘、砂が動いて形を変えることから「移動する砂丘」として重要視され、環境保護区域に指定されていました。ゴルフ場の建設計画をめぐり、環境の破壊を懸念する住民と対立が起きました。

ゴルフ場の近くに住む デイビット・ミルンさん(61)
「(Q.これはあなたの家ですか?)そうです。私の家です」

ゴルフ場の近くに住むミルンさんも建設に反対した一人です。

ゴルフ場の近くに住む デイビット・ミルンさん
「現在は自然の風景ではなく人工的な景色となってしまいました。以前は野生生物の宝庫だったのですが」

また、ミルンさんが企業側からの「土地の売却提案」を断ると、自宅の敷地との境界線に盛り土をされたり、木を植えられたりしたといいます。

ゴルフ場の近くに住む デイビット・ミルンさん
「トランプ氏による世界各地での開発事例を振り返れば、これは標準的な嫌がらせの手法です。おそらく彼らは別のところで同じことを繰り返すでしょう」

トランプ氏は2006年、「世界最高のゴルフコース」を建設するとしたうえで、6000人の雇用創出を約束。ホテルや住宅など大規模なリゾート開発を行う計画でした。しかし、2012年のオープン以降、赤字が続いていて、計画のほとんどが実現していません。

地元議会の元議員 マーティン・フォードさん
「スコットランド自治政府は砂丘がもたらす生態系の破壊を、雇用と投資の見返りとして認めました。地域への経済的利益はほとんどありませんが、環境破壊は深刻です」

一方で、賛成の声も。

住民
「いいと思います。みんながお金を使うし、コースも楽しめるものです。トランプ氏がやっていることに何の問題も感じていません」

ゴルフ場建設をめぐる意見の相違が「トランプ氏の望むものだった」との指摘も。

地元議会の元議員 マーティン・フォードさん
「トランプ氏は分断と対立を引き起こし、争いを生もうとします。彼はそれを楽しんでいるのです。ここで起きたことは、さまざまな意味で非常に悲惨でした」

完成させたゴルフ場はトランプ氏にとって、称賛と注目を浴びるための“自己満足のプロジェクトだ”とフォードさんは考えています。新たなコースの誕生に住民たちは複雑な思いです。