政府備蓄米の放出で倉庫会社が受け取る保管料に影響が出る見通しが報道されたことを受けて、倉庫業を営む加害企業から医療費の支払いを受けているカネミ油症患者から不安の声が上がっています。企業側は今のところ影響はないとしています。
「カネミ油症」は、1968年に北九州市で精油業と倉庫業を営むカネミ倉庫が作ったこめ油に、製造過程で化学物質PCBが混入して起きた食中毒です。
油症認定患者は現在全国におよそ1500人。
カネミ倉庫は認定患者に対し、毎年およそ1億円に上る医療費の自己負担分を、精油業と倉庫業の利益から支払っており、国は政府米の保管を優先的に回す仕組みでこれを支援しています。
米不足を受けた今回の政府備蓄米放出で、倉庫会社が受け取る保管料に影響が出る見通しが報道されたことを受け、油症患者からは今後の支払いへの影響を不安視する声が上がっています。
カネミ倉庫は取材に対し、
「自社倉庫で保管しているのは海外からの輸入米(MA米)であり、今回の放出の影響は受けていない」と説明しています。
一方で、年5万円の「一時金」支払いのため、国が2013年から始めた新たな倉庫活用制度に基づく手数料収入については、国内の倉庫業者が関係しており、「今後影響が出る可能性もあるが、農水省からの説明はない」としています。