ゴールデンウィークで賑わう空港で特に警戒感が高まるのが、違法薬物の密輸です。今回特別に、羽田空港の“地図にはない場所”にカメラが入り、水際の攻防戦を捉えました。
お菓子箱を開けると、大量のコカインが。こちらはTシャツに覚醒剤が染み込んでいました。
あの手この手で忍び寄る違法薬物。密輸を水際で食い止めているのが、東京税関の職員です。
羽田の国際線ターミナルを行き交う無数の人や荷物に、日々目を光らせています。
税関とは入国審査を終え、「到着出口」の一歩手前で密輸の取り締まりなどを行う、いわば“最後の関門”です。
特にいま、警戒を強めているのが…
東京税関 羽田税関支署 日諸渉 次長
「麻薬組織が非常に活発になっている。コカインです。非常に危険・怖い薬物」
近年、日本でもファッション感覚で乱用する若者が増えているコカイン。去年、全国の税関における押収量は260キロと、前の年から倍増しているのです。この春、カメラがとらえたのは…
「エスパニョール」
「スペイン?エスパニョール?スペイン語の申告者1名」
ブラジルから到着したピンク色のダウンの女。パスポートを税関職員に渡し、違法薬物などを所持していないか確認する“申告書”に記入します。
東京税関の職員
「ここに誕生日を」
記入を終えた女に対し、「到着出口」とは別の方向を指さす職員。実はこの女、これまでの渡航歴などから“不審人物”として警戒されていて、より詳しい検査を受けることに。
向かう先にあるのが「検査室」で、薬物の密輸などが疑われる際、詳しい聞き取りが行われる“地図にはない場所”です。
今回特別に、撮影が許可されました。
職員
「日本のどこに行きますか?」
ブラジル国籍の女
「東京の宿泊先はあります」
職員
「日本に友達はいますか」
ブラジル国籍の女
「いないです。観光で来ました」
女のすぐそばで、職員が荷物を細かく確認。白い布で拭い、薬物反応を見ますが荷物に異常は見つからず。
笑い声をあげる女。余裕も見えます。
ところが、今度は体の中を調べるため空港内のクリニックでレントゲン検査を受けると、女の様子が一変。
電話の先の通訳に必死に訴えます。
ブラジル国籍の女
「隠すことは何もないです。なぜ私を罠にはめようとするの?」
女が焦り始めた理由。それがこれです。レントゲン写真の腹部に写る白い影。別のCT画像には、長さ5センチほどの小袋がびっしり。女はいわゆる“運び屋”でした。
東京税関 羽田税関支署 斉藤克幸 特別審理官
「ベテランだろうな。もう何度もやっているんだな。慣れているので、出さないです。不慣れな人間はここでもう…。大したものですよ」
その後、入院先の病院で1週間かけ排出した小袋は、その数100個以上。
ブラジル国籍の女
「はちみつをかけて水を飲みながら飲み込んだ」
中身はコカインで、小袋が破ければ命を落とす危険もありました。
女は容疑を認め、麻薬取締法違反などの疑いで逮捕・起訴されました。
女の目的は…
東京税関 羽田税関支署 日諸渉 次長
「高額報酬目的で犯行に及んだと自供しています。我々は(女は)多数回、密輸していたと睨んでいます。飲み込みの運び屋のプロ」
相次ぐ違法薬物の密輸。実はプロだけの仕事ではありません。
東京税関 羽田税関支署 日諸渉 次長
「『海外旅行に無料で行けます』『帰りに荷物を持ってきてください』。知らず知らずのうちに薬物の運び屋にされることもありますので、こういった募集はぜひ気をつけていただきたい」
特に大型連休、「誰もが巻き込まれる可能性がある」として、東京税関は注意を呼びかけています。
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