十和田市の山へキノコ採りに入って遭難し、6日目となった19日、無事に発見された八戸市の73歳の男性が20日、青森テレビの取材に応じました。
語ったのは、命をつないだポイント、そして、遭難しないために伝えたいことです。
※上野勲さん(73)
「警察や救助隊の姿を見たら涙が出ました」
十和田市の山で遭難して6日目の19日に、発見され無事に自宅へと帰った八戸市市川町の無職・上野勲さん73歳です。
上野さんは、今月14日、近くに住む友人の鈴木清子さん72歳と2人で十和田市奥瀬(おくせ)の山へキノコ採りに入り、遭難しました。
※上野勲さん
「キノコがいっぱいあって、それに夢中になって方角がわからなくなった。奥に入ったというよりも、キノコを追いかけていって方角を見失った」

このとき、携帯電話やいつもは持ち歩く方位磁石を車に積んだままにしてしまったといいます。
※上野勲さん
「すぐ帰るつもりだったから何も身に付けていなかった。身に付けていたのは、たばこ1本とライターと時計だけ。」
そのライターで火をおこせたことが2人の命をつなぐことになりました。
※上野勲さん(73)
「夜焚き火があたったのが一番。あれがなかったらどうなっていたかわからない。夜が明けて焚き火がなくなれば、焚き火を集めてどんどん拾ってきて、目が覚めたら体を暖めて次に備える。そういう繰り返し。」

遭難していた6日間で、2人がいた周辺では、最も気温が低いときで、3℃まで下がっていました。
そして、2人は、暖をとりながら沢を目指し、沢の水を飲み、採ったキノコを焼いて食べ、しのいだといいます。上野さんは、3年ほど前から何度も来ていて慣れている山で遭難し、一番厳しい思いをしたと話します。
※上野勲さん
「方向がわかるような物をもって、ラジオでも車の上に置いてかけて、聞こえる範囲にいた方がいい。それでも十分に採れるから。」
今回の経験を多くの人たちに伝え、遭難を1件でもなくしたいと上野さんは訴えています。