23日に投開票が予定されている新潟市長選。両候補の農業政策を比較してみました。

569億9000万円


新潟市の農業産出額は、県全体の23%にあたる569億9000万円。
コシヒカリなどのコメをはじめ、ナスやエダマメなどの野菜、ナシやカキなどの果物、そしてチューリップやアイリスなどの花きが主な生産物です。


全国に誇る魅力的な農産物が数多くある一方、後継者不足や資材の高騰など、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。農家はこれからの市政に何を求めているのでしょうか。


新潟市江南区の農家・松澤亘さん(66歳)。今年も丹精込めて育てたナシの収穫時期を迎えました。30年ほど前に家業を継ぐ形で会社員から農家に転身し、ナシやブドウ、コメなどを栽培して直売所で販売しています。


【松澤さん】「今年はものすごく花芽がいっぱいとまって、その割には腐るのも結構あるっていうかね。天候でいろいろ毎年違うんですよね。最近特に気候の変化っていうか、暑すぎてね」


毎年異なる条件に対応するのが大変であると同時に、やりがいも感じながら農業を続けてきました。しかし、この30年で変化したのは気候だけではありません。


【松澤さん】「後継者がいなくて、これからどうなるんだと思いますよね。地域で片方の腕に余るくらいの後継者しかいない。ナシを作ってる人たちは今二十何軒とあるんですけど、その下がどうなるか…」

66歳が“若手”と呼ばれる現実


あらゆる方面でも問題になっている後継者不足。とくに農業で生計を立てている「基幹的農業従事者」の数は、この10年で5000人減少しました。全体の7割近くは65歳以上の人で、高齢化が深刻化しています。


この地域では、66歳の松澤さんが“若手”と呼ばれています。


「若い人と一緒に仕事がしたい」という思いはあるものの、収入や休みが天候に左右されるなど、若者が感じている就農へのハードルの高さも理解できると話します。


【松澤さん】「不安なんじゃないでしょうかね、若い人はね。会社組織だとやっぱり務めてるって感じがして、安心感があるんじゃないでしょうかね」


また、後継者不足とともに問題視されているのが耕作放棄地です。


松澤さんの畑の隣にも、以前は畑だったものの草木が伸びきってしまった土地があります。生産者が亡くなるなどして管理されなくなると、カラスや虫がたかり、近隣の農家を困らせるといいます。


そして最近、さらに増えた悩み。一番の楽しみであるはずの『出荷』に掛かる必要経費です。


【松澤さん】「去年あたりからすごく資材に経費がかかるなって…。ナシの袋とか段ボールとか、石油製品からできるパックとか、みんな上がってますからね」


松澤さんによると、段ボールは4年前と比べて1枚当たりで20円~30円値上がりし、箱の中の果物を保護する緩衝材は、物によって倍以上の価格になっているといいます。


問題は山積みの中、これからも農業が続いていくために市政に求めたいことを松澤さんに訊ねました。


【松澤さん】「魅力ある農業ができるような体制、みんなが夢を持ってできる農業であれば、若い人も来るんじゃないでしょうかね」