視聴者から質問が届きました。
「熊本城の復旧について天守閣や飯田丸のニュースはよく見るものの『本丸御殿(ほんまるごてん)』はどうなっているのか?」
観光客誘致のためにも天守閣の次は本丸御殿の復旧では?ということで、本丸御殿の今を調査してきました。
熊本城本丸御殿は6年前の熊本地震で石垣の一部が崩落、建物内部にも被害がでました。

地震以降、非公開が続いていますが、今回特別に中の状況を見せてもらいました。
後生川 凛 アナウンサー
「このヒビとか…」
熊本城総合事務所 建築整備班 田代 純一 主査
「はい。こういうのも地震の被害です」

内部の壁にはひびが入った場所や剥がれ落ちた場所が。

さらには…
後生川 アナウンサー
「観光客に人気だった昭君之間(しょうくんのま)ですが、床に傾きが出るなどの被害がそのまま残っています」

内部は地震直後とほとんど変わっていないとのこと。しかし本丸御殿は、天守閣や飯田丸五階櫓と比べて被害は小さかったはずですが、なぜ復旧が進んでいないのでしょうか?
田代主査
「たくさんの面の石垣の上に本丸御殿が乗っていて、石垣を今後どうしていくのか
がはっきりしていない。今それを検討中」

石垣の修復方法には正解がないこと、さらに本丸御殿を支えている石垣の「面」の多さが復旧を複雑にしています。

天守閣を支える石垣が約10面なのに対し、本丸御殿はその4倍に近い37面あります。
その1つ1つで修復方法の検討が必要なため、時間がかかっているということです。
ー- 決して本丸御殿を後回しにしているわけではないということですよね?
田代主査
「(本丸御殿を)もう優先順位を最上位に上げてやっているところではあります」
54億円をかけて2008年に復元された本丸御殿。10年後の復旧を目指します。
田代主査
「できるだけ早く復旧して、多くの方に見ていただきたいという気持ちは私たちも一緒です」

2037年度中の完全復旧に向け、修復が進む熊本城。「奇跡の石垣」の復旧作業も本格化しています。

記者
「熊本地震で崩れた飯田丸五階櫓の石垣が、クレーンを使って積み直されていきます」

地震後の姿から「奇跡の一本石垣」と言われた 飯田丸五階櫓(いいだまる・ごかいやぐら)を支える石垣。

熊本地震で525個の石が崩落し、さらにその倍の数の石が割れるなどしたため地震の2年後に解体されました。

石の重さは、1つ300キロから1000キロ。

10月3日に始まった修復作業では、クレーンで1つずつ丁寧にもとあった場所へと積み直されていました。

熊本市 熊本城総合事務所 岩佐 康弘 副所長
「より強いというか、以前からあったものを更に強度を増して使います」
石垣の間にステンレス鋼と樹脂を格子状に組み合わせた補強材を使用することで、簡単には崩れない石垣を目指します。
岩佐副所長
「熊本地震、あのクラスの地震がきても『もう2度と崩れないぞ』という思いで立派なものを作っていければと思っています」

ただ、特別史跡の熊本城では、石垣の石1つ1つも貴重な文化材です。市は今後、価値を守りながら必要に応じた補強工事を行うとしています。
