シリーズ「現場から、」です。「世界最大の民主主義国」とされるインドであす、総選挙の開票が行われます。3期目が有力視されるモディ首相ですが、少数派宗教への抑圧を強め、国を分断しているとの批判もあります。
インド北部のハリヤナ州。国の人口14億人のうち8割を占めるヒンドゥー教徒や少数派のイスラム教徒などが共に暮らしていますが…
記者
「イスラム教のモスクの周りには、無残に壊されたがれきの山が広がっています」
ここで一体、何が起きたのか。
ナワーブさん
「ここからあそこまで私の店でした。私がイスラム教徒だから壊された」
イスラム教徒のナワーブさんは去年、地元当局に複数の店舗を破壊されたといいます。
きっかけは、その1週間ほど前に起きたヒンドゥー教徒とイスラム教徒による衝突でした。宗教行事をめぐって起きた争いは、大規模な暴動に。6人が死亡し、200人以上が逮捕されました。
ナワーブさんは暴動に加わっていませんでしたが、「ヒンドゥー教徒を優遇する政策のせいで、差別されている」と訴えます。
ナワーブさん
「私はこの先、どうすればいいのかわからない。店の収入で子どもたちが生活できていたのに、とても困っている」
与党「インド人民党」が掲げるヒンドゥー至上主義。党を率いるモディ首相の強いリーダーシップで、多くのヒンドゥー教徒から支持を得てきました。
ヒンドゥー教徒の男性
「インド人民党とモディ首相がいてくれるからヒンドゥー教徒は強くなるし、私たちは安心して生活ができるのです」
ただ、モディ氏の選挙演説では、イスラム教徒を敵視するような発言も。
モディ首相
「みなさんが苦労して得たお金が“侵入者”の手に渡っていいのか?それでいいのか?」
イスラム教徒を「侵入者」と呼び、物議を醸したのです。
モディ政権下では、イスラム教徒が多数を占める北部ジャム・カシミール州の自治権がはく奪されました。
最大野党「国民会議派」に所属するアフタブ氏は、分断が生まれていると批判します。
国民会議派 アフタブ氏
「インドの人々は、それぞれの宗教などを大切にして共存してきた。それはインド人のDNAに刻まれている。現政権は宗教の名のもとにインドの社会を分断させている」
こうした問題をめぐっては、メディアなどへの圧力も強まっていて、強権的だとの懸念が高まっています。
日本はインドとの間で、「民主主義といった基本的価値を共有する」として、関係の強化に動いていますが、専門家は日本がインドの人権問題に対し、傍観者であってはならないと指摘します。
防衛大学校 伊藤融 教授
「(インドと)あまりにも露骨に価値観が違いすぎるのは、果たして連携している意味(があるのか)。民主主義の集まりだとかって言っても、張り子の虎になってしまう」
民主主義のあり方が問われるインドの総選挙はあす、開票されます。
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