メジャー13年目のダルビッシュ有(37、パドレス)と日本ハムで7年を共に過ごした、糸井嘉男さん(42)が対談した。20日に韓国・ソウルで行われるドジャースとの開幕戦では2年ぶり4回目の開幕投手を務め、日米通算200勝まであと4勝と迫っているダルビッシュが、12年間のメジャー生活で経験した知られざる苦悩を明かした。

糸井:この世界で戦って、MLBで一番燃えた勝負っていうのはありますか?

ダルビッシュ:燃えた勝負・・・(2012年、MLB45年ぶりに打撃三冠王に輝いた)ミゲル・カブレラとかはやっぱ印象深い。そういうバッターがいっぱいいますね(カブレラは通算3174安打で昨年に引退)。

糸井:インコースの強烈なツーシームも打たれたりとか、そういうのはありましたね。期待されている選手はいますか?

ダルビッシュ:仲良いっていうところもすごくあるんですけど、僕はやっぱりマチャドですね。マチャドはすごく仲良くて、このオフもずっと一緒にサンディエゴでトレーニングしてたんですけど。彼がすごくリーダーシップを持ってこのチームを引っ張っていくっていう気持ちを出していけば、みんなついてくると思いますし、やる気を見てると出てくると思うので、そういう意味で僕は彼に期待してます。

※マニー・マチャド(31、パドレス):WBCドミニカ共和国代表、2023年に11年総額約475億円で契約更改

ダルビッシュ、12年間のメジャー生活で経験した知られざる苦悩を明かす

2012年に海を渡ったダルビッシュは、レンジャーズでメジャーリーガーとしての経歴をスタートさせた。2013年には、野茂英雄氏に次いで日本人2人目となる最多奪三振のタイトルを獲得。その後ドジャース、カブスを経て2020年に現在のパドレスに入団し、2023年は野茂氏以来、日本人2人目のメジャー通算100勝を達成した。

糸井:12年間のメジャー生活。辛かった、みたいなことなかったですか?

ダルビッシュ:いやもうそれが僕、すごく長かったですね。特にレンジャーズにいるときはそういう感じだったので。今はやっぱり松井(裕樹、28)くんとか見てもそうですし、山本(由伸、25)くんとか今永(昇太、30)くんの話聞いてても、やっぱりどの球団も日本人に対して理解しようとか受け入れる体制ってすごくあるんですよ。でも、僕が行った時は・・・。

糸井:受け入れてくれない?

ダルビッシュ:受けてくれないというかやっぱり舐めてる・・・舐めてるというか、僕が自分のルーティンとか作っているのを馬鹿にしてきたりとか。当時やっぱりルーキーっていうのはすごく扱いが悪かった時代だったんで、今はそんなことないんですけど。自分にメディアがバーッてきたりすると、そういうのをやっぱり妬む人もいるんで、嫌味を言ってきたりとか。結構ずっと長かったんで、いじめじゃないけど、そこまでのことはありました。それを例えば上の人に言っても、「メジャーリーグってそういうものだから」「ルーキーってそういうものだから」ってことで、あまり話を聞いてくれない、じゃないけど、そういう期間が長かったですね。

糸井:今はあんまりない?

ダルビッシュ:今はやっぱり日本人の選手たちの評価がすごく上がってきて、だからみんな松井くんとかも楽しくできる環境が今は揃っていて。

糸井:日本人としてストレスがない?

ダルビッシュ:なるべく減らそうと球団もしてくれてますし、特にパドレスなんかそうですし。