1942年、山口県宇部市の海底炭鉱が水没する事故がありました。犠牲者の遺骨発掘や返還に向けて活動する市民団体は、ことし秋にも炭鉱の入り口を開くことを目指していて、15日、決意を示す集会を開きました。

集会には「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」と、韓国の遺族会や訪問団など約170人が参加しました。炭鉱の入り口である坑口(こうぐち)の開口への決意を新たにしました。
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 井上洋子共同代表
「日韓市民の連帯の力で坑口を開けようではありませんか」
太平洋戦争のさなか、宇部市の海底にあった長生炭鉱が水没する事故がありました。朝鮮半島出身者136人を含む183人の労働者が犠牲になり、犠牲者らは現在も炭鉱の中に残されたままです。

韓国で犠牲者の遺骨発掘を進める チェ・ボンテ弁護士
「この犠牲者に『みなさん、戦争が終わりました』と報告したいんです」
事故直後に塞がれた坑口を開けることで、犠牲者の遺骨発掘に向けた調査開始を目指します。坑口開口のための工事に向けて、坑口があるとみられる場所を掃除しました。会によると、この坑口があるとみられる土地は地元の任意団体の登記となっています。

一方会は、宇部市が所有すべき土地だと考えていて、工事開始に異議がないことを確認する通告書を16日、市に提出しました。
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 井上洋子共同代表
「遺族の高齢化を考えた場合に、1日も早く坑口を開けて遺骨を外に出したいということがありますので、やむなくこういう行動を取らざるを得なかったと」
会は、工事費用など800万円をクラウドファンディングで募っていて、10月に坑口を開けたいとしています。