続いて「わたしたちのSDGs」です。きょうはSDGsの目標の13番「気候変動に
具体的な対策を」につながる取り組みです。
小さいながら強い生命力を持つ苔でこの目標に貢献しようと上山市に苔のテーマパークが間もなくオープンします。

苔のテーマパークに潜入

報告 鈴木竜弘
「おおーパンダに仔馬に恐竜に向こうには大きな親子のキリンもいます。
実は全部これ苔でできているんです。こちらは来月オープンを目指して準備が進められている苔のテーマパークです。どんな楽しいことが待っているんでしょうか?」

苔のテーマパークは山形県上山市の国道348号線沿いに整備が
急ピッチで進められています。
名称は「Hutte(ヒュッテ)」。ドイツ語で小屋や山小屋を意味します。

Hutte(ヒュッテ)

この苔のテーマパークを構想したのは苔による緑化で全国8割のシェアを誇る
山形市の「モス山形」の社長、山本正幸さんです。

苔から始まる小さなSDGs


モス山形 山本正幸 社長
Qなぜ苔のテーマパークを作ろうと?
「苔はSDGsのひとつの始まりと言われています。地球上の最初の植物で
苔なくして今の人類はなかったわけですから、その苔を広めて小さな一歩、小さな
SDGsと」
                            
苔は強い生命力があり、半永久的に生長し、二酸化炭素を吸収し、酸素を
作り出します。

苔のテーマパーク『Hutte』

施設のいたるところに苔が使われています。
さっそく、パークの中を見せていただきました。


まずは大きなハウスが目を引くグリーンショップです。
中には苔玉が吊るされ、さまざまな苔盆栽が展示販売されます。
ガラスの容器の中で苔を使って思い思いの世界を作るテラリウムも展示されています。
そして苔が敷き詰められた小川も流れています。
モス山形の居鶴さんはこちらで苔玉やミニ盆栽づくりのワークショップも開いていきたいとしています。
ミニ盆栽づくり体験

モス山形・居鶴雄大技術開発部長
「今回はミニ盆栽を体験していただこうかと思います。こちらまだ若いので実はまだ針金で仕立てている途中なんですよ。なのでこんな形で・・お客様の好きなように曲げて頂いて。
こんな形でギュッと押し込むような形で植えていただくと収まりますので」

鈴木アナウンサー
「柔らかいですね。フワフワしてああ面白い。ギュッとこう、よいしょっと。なんか大盛になりました」


居鶴 技術開発部長
「苔は自重(自分の重さ)の20倍くらいの保水性能があるんですよ。植物への水やりの頻度が抑えられるというメリットもありまして」

鈴木アナウンサー
「できました。こちらがミニ盆栽ですね。苔盆栽の松です。涼しげですよね。
これから夏、これが家の中にあるといいんじゃないでしょうか」

苔イメージのカフェも


さて、お昼に近づき、お腹がすいてきました。
併設されているカフェにお邪魔しました。
苔は食べられませんが、苔にちなんだメニューが考案されていました。
苔イメージのカレー


鈴木アナウンサー
「カレーというと黄色いイメージがあるんですが、これは緑ですね」

山本美奈子さん
「うちのカレーはグリーンを強調しまして、普通のグリーンカレーにホウレンソウを足しました。ちょっとスパイシー目にできていますので、おいしいかと思います」

鈴木アナウンサー
「わあおいしそう、緑。いただきます。やさしい味、甘口かと思ったら後から
さわやかな辛さが伝わってきます」

スイーツにもこだわりがありました。

山本美奈子さん
「こちらが苔玉に見立てた抹茶アイスになります」

「こちらの方が自家製ハッカを使ったかき氷になります」
鈴木アナウンサー
「見た目にも涼やかですね」

どちらも苔をイメージした緑色が印象的で、さわやかな美味しさでした。

苔をパネルにして緑化推進。耕作放棄地を有効活用


苔の魅力を広げようとしているモス山形は、
日当たりの良い所で育つスナゴケと日影で育つハイゴケを使って屋上緑化や壁面の緑化工事を全国で展開してきました。
山形市の事業所では苔のシートや苔を貼ったパネルの製作が行われています。

苔の栽培には山間部の耕作放棄地を有効活用していて、田畑が荒れるのを防いでいます。

苔に注目した理由とは?

苔にはメリットがたくさん!

モス山形 居鶴雄大技術開発部長
「苔の大半は実は乾燥しても死なないんですよ。今完全にカサカサしている状態ですが、雨水が充分に当たれば雨水だけで管理できるというのが苔のメリットです」
「芝とか普通の植物に比べると二酸化炭素の吸収は少ないが、その分、苔は半永久的に生長すると言われています。なので二酸化炭素を吸い取った分を固定化したまま新しい芽がどんどん増えていく。長い目で見れば苔の方が環境にやさしい素材なのかなと」

屋上に苔のパネルでエアコンなしの倉庫も

近年、夏の気温が上がり、ヒートアイランド現象が深刻化しているなか、
苔のパネルを屋上に敷き詰める屋上緑化に利用する事業所などが増加傾向にあるということです。

苔のパネルが設置された山形市の小島洋酒店の倉庫の屋上を見せてもらいました。
屋上の1500平方メートルの広さが苔で覆われています。

小島洋酒店 小島一晃取締役
「環境に対する負荷であったり、これからの時代、とてもいい取り組みだと思いまして苔を敷くことでエアコンを使わない倉庫を実現しました」

植物を植えることがSDGsに

今月、山形市で開催されにぎわった伝統の「薬師祭植木市」。
ここにも山本社長の姿がありました。
実は山本社長、山形盆栽会の事務局長を務め、盆栽の普及にも努めているのです。
植木市の意義をこう話します。

モス山形 山本正幸社長
「今、SDGsということで言われていますけれども、これも小さなSDGsなんですね。
いろんな植物を植えてその植物が二酸化炭素を吸収して酸素を出すという。やはりこういう機会を設けて若い人たちに小さなものからでも取り組んでいただければ」                                                   

小さなSDGsの積み重ねを強調する山本社長。その思いが上山市の
苔のテーマパーク「Hutte(ヒュッテ)」につながりました。
山本代表の夢はさらに広がります。

モス山形 山本正幸社長
「将来は苔の庭も作る予定にしておりますし、こちらの方にはグランピング的なテントを張って家族皆さんでコーヒーを飲んだり、ピザを食べていただいたり、楽しい一日を過ごしていただける所を提供したい」                                               

SDGsを意識しながら苔の魅力を楽しんでみてはいかがでしょうか。