「生きていれば面白いことがある」。
そんな気持ちで、コロナ禍の生活に翻弄される、高校生に寄り添ってきた一人の男性がいます。
福島県郡山市にある帝京安積高校の吹奏楽部顧問、菊池元(げん)先生です。

帝京安積は、県内屈指の強豪で、夏の吹奏楽コンクールは、これまで9回東北大会に出場。
今年は、11月20日に大阪城ホールで行われる全日本マーチングコンテストにも出場します。

この吹奏楽部で、2000年の創部当初から指揮を執っているのが菊池先生です。
■大会が軒並み中止に 落ち込む部員に先生は語りかけた
遡ること2年半前。部員たちに悲劇が襲いました。
新型コロナの感染拡大で、最大の目標である2020年の大会は軒並み中止が決定。
この年の5月、目標を失いかけた部員たちに菊池先生は、こう語りかけました。

吹奏楽部顧問・菊池元先生「大会じゃない時に部活動は一体何のためにあるのか。部活動って何かなって考えたらやっぱり人と人との繋がりなんだよ。誰かを助けてあげてください。誰かに助けてもらっていいから」

「コロナ禍だからこそ『仲間』の大切さを見つめ直そう」。
前向きな言葉で部員たちを鼓舞しました。
磨いた「結束力」は、やがて大きな成果に。
当時の3年生にとって集大成となる2021年3月の卒業公演。
部員たちは、この年、最初で最後の晴れ舞台で不屈のサウンドを響かせ、観客を魅了しました。

演奏後、菊池先生は、コロナ禍で奮闘する部員たちの気持ちをこう代弁しました。
菊池先生「高校生活は3年間しかありません、延長がありません、来年に延期がありません。一生懸命に頑張っている高校生や中学生に少しでも応援の声を頂ければありがたい」

この言葉に、会場からは、温かい拍手が送られました。
「すべては部員たちのため」。
そんな菊地先生には、壮絶な過去がありました。