宮城県白石市が、2023年に発注した配水施設の防水工事を巡り、入札情報を漏らしたなどとして、市の職員と地元業者の男2人が逮捕された事件についてです。捜査関係者によりますと、逮捕された職員が、秘密事項である「工事の予定価格」を何らかの方法で入手したか、算出していたとみて、捜査していることが新たに分かりました。
官製談合防止法違反などの疑いで、19日に逮捕されたのは、宮城県白石市上下水道事業所係長、平間大地容疑者(36)と白石市にある草刈工務店の社長、草刈俊彦容疑者(63)です。

警察によりますと、2023年9月に白石市が発注した貯水施設の防水工事をめぐり、平間容疑者が、草刈容疑者に予定価格など入札に関する情報を漏らして、不正に落札させ、公正な入札を妨害した疑いがもたれています。

千葉陽太記者:
「捜索を終えた県警の捜査員が段ボールを抱え事業所から出てきました。」
警察は、19日夜、白石市役所や平間容疑者が勤務する事業所を家宅捜索し、関係書類などを押収しました。

白石市職員:「急にみんな帰れって言われたので、何かあったのかと思った。(Q平間容疑者について)普段の働き方とか分からないですけど、特に変わった人ではない」

今回の事件の構図です。工事の入札は、指名競争入札で行われ、市が選定した参加基準を満たす5社が参加。その一つが、草刈工務店でした。平間容疑者は、2023年9月11日から入札日の9月21日までの間、秘密事項である工事の「予定価格」と「入札に参加する業者名」を草刈容疑者に伝えた疑いが持たれています。

その結果、予定価格402万1000円に対し、草刈工務店が最低制限価格に最も近い343万4500円で工事を落札したとみられています。白石市は、最低制限価格は、公表していません。

白石市上下水道事業所 高橋尚子所長:
「(平間容疑者は)当該工事の設計、積算を行っており、設計額を知っている立場にあった」

市によりますと、平間容疑者は当時、工事にかかる費用を算出できる立場でしたが、「工事の予定価格」は、市長が最終決定した後は、金庫に保管されるため知りえるのは市長と所長のみだということです。

しかし、平間容疑者は、予定価格を何らかの方法で入手するか算出したうえ、草刈容疑者に伝えていたことが、捜査関係者への取材で分かりました。白石市の山田裕一市長は、20日の会見で市民に謝罪し、再発防止に取り組みたいと話しました。

山田裕一市長:
「市民の皆様の信頼回復に向けて取り組んでいきたい」

警察は、平間容疑者と草刈容疑者の関係性や認否について、捜査に支障が出るとして明らかにしておらず、引き続き事件の全容解明に向け捜査を進めています。