静岡県熱海市の土石流災害の原因究明を続ける百条委員会が5月11日、開かれました。これまでに参考人招致に応じてこなかった盛り土造成の関係者が虚偽の証言をした場合に罰則が科せられる証人として呼ばれ、ヤマ場を迎えています。
強い権限を持つ熱海市議会の百条委員会は、11日と12日に開かれ、証人尋問と参考人招致で14人が委員の質疑に答えます。土地の新旧所有者や盛り土の造成業者など7人は虚偽の証言をした場合に罰則が科せられる証人として呼ばれます。
11日は土石流の被害を拡大したとされる盛り土について、当初から造成業者に指導してきた県と市の職員などが証言に立ち「危険な盛り土の造成を止める手立てがなかったのか?」が問われました。
<盛り土造成当初から指導してきた熱海市職員の証言>
「黙認していたわけではない。熱海市としては口頭でも文書でも指導をしていた」
当時の盛り土の現場では、大量の土砂が適切な防災工事が行われることもなく捨てられ続け、土砂の崩落や港の濁りなどの現象が静岡県や熱海市にも報告されていました。
委員からは熱海市の対応の悪さが危険な盛り土の放置につながったのではないかと追及されましたが、熱海市職員は「熱海市が適用できた条例は弱く、県の使える法律を適用して欲しかった」と訴えました。
業者による開発面積が1ヘクタール未満の場合、熱海市が条例で対応、1ヘクタールを超えると県が森林法で規制することができます。
静岡県が権限を持つ森林法は厳しい許可基準があり、違反があれば速やかに工事の中止などを求めることができます。
<盛り土造成当初から指導してきた熱海市職員の証言>
「土地の面積が1ヘクタールを超えているように見えるので、違反になることを見据えて、熱海市から静岡県に対して一緒に面積調査に入った方がいいのではと言った。静岡県からは、まずは市が業者に指導するようにと積極的ではなかった」
公文書には1ヘクタールを超えている可能性を指摘する熱海市職員の言葉が残っていて、2009年には業者側から1.2ヘクタールの図面が出されていました。
森林法で主体的に規制できたのではないか。これに対して参考人として呼ばれた静岡県の元職員は…。
<静岡県の元職員の証言>
「図面での計算であり、正式な文書ではない。この時点では現場に行ってないが、明らかに改変されていない部分が含まれていた。1ヘクタールを超えていると認識していなかったので、主体は熱海市だと思っていた」
1ヘクタールを超えていないので対応できなかったと主張する静岡県の元職員。結局、両者の言い分は平行線をたどる形となりました。
<百条委員会 稲村千尋委員長>
「行政の対応として熱海市には不十分な点があった。安全のため、積極的に森林法で扱うのは大変だが、厳しい規制を県として業者に対応してほしかった」