いわゆる「袴田事件」で3月13日、東京高裁が袴田巖さんの再審を認めたことで、次の焦点は検察が最高裁に「特別抗告」をするかどうかに移っています。この特別抗告を食い止めようという動きが広がっています。

袴田巌さんの姉・ひで子さんが14日正午ごろに訪れたのは東京都内の参議院議員会館。「袴田巖死刑囚救援議員連盟」に所属する国会議員らに東京高裁の決定内容を報告しました。

<袴田ひで子さん>
「長い裁判で本当に皆様にお世話になりました。本当にありがとう。もうひと踏ん張り、頑張っていこうと思っています」

13日、東京高裁は(巖さんの)再審開始を認めたものの、検察側にはこの決定を不服とする特別抗告をする権利があります。ひで子さんらは集まった国会議員らに対し、法務大臣に申し入れるよう求めたのです。

<袴田巖死刑囚救援議員連盟 鈴木宗男参議院議員>
「いま国会をやっていますから、日程がありますが、法務大臣に申し入れてますけど、しかるべき人にはきちんと申し入れをします。きちっと法務省に伝えます」

検察側の特別抗告を阻止しようとする動きは他にも。元裁判官や映画監督らで構成する市民団体は14日会見を開き、検察への批判を展開しました。

<再審法改正を目指す市民の会 周防正行共同代表>
「検察に対する怒りは当然ある。証拠のねつ造まで疑われている。現場の検察官は、袴田さんを死刑台に戻すために働いてる、それに誇りを持てるのか」

特別抗告の期限は3月20日。東京高検は13日の時点で「決定の内容を精査し適切に対処したい」とコメントしています。

今後の流れです。検察側には東京高裁の「再審開始」の決定を不服として特別抗告をする権利がありますが、それをした場合、舞台は最高裁に移り、審理にさらなる時間が掛かるのは確実です。

弁護団は特別抗告をについて「時間つぶしとしか考えられない」と批判しています。

検察が期限の3月20日までに特別抗告をすれば、審理の場は最高裁に。特別抗告をしなければ、静岡地裁で再審が開始されます。