皆さん、2023年10月に始まる消費税に関する新たな仕組み「インボイス制度」をご存じでしょうか?このインボイス制度は、主に「事業者間の取引に関係する制度」なのですが、取材してみると実は、私たちの生活にも少なからず影響が及ぶ可能性があることが分かってきました。
ー「インボイス制度」どんな制度かご存知ですか?
(市民)
「わからへん、インボイス?コロナ関係?」
「学費払ってくれる制度?」
「領収書の消費税の課税か免税かみたいな。『制度を理解するのが難しい印象』があります」

インボイス…日本語に訳すと「請求書」という意味になります。今年10月から始まる「インボイス制度」とは、つまりは「消費税に関わる新たな請求書の形」を指します。
まず影響を受けるのが「フリーランス事業者」死活問題も...って何故?

このインボイス制度の導入で、まず大きな影響を受けるのが「フリーランス」の立場で働く小規模事業者です。
(フリーランスでホームページなどを作成 伊達智美さん)
「数十万くらい売り上げが下がると思います。痛いのは痛いですね…」
岡山市内の自宅で、フリーランスでホームページやイラストの制作などを行っている伊達智美さんです。インボイス制度が始まると、伊達さんのような年間の売上が1000万円以下のフリーランスの事業者の納税の負担額が、これまで以上に増えると可能性があるというのです。
その内訳はこうです。(【画像】【動画】で分かりやすく解説しています)

例えば、伊達さんのような「フリーランスの事業者」が出版社に対して記事を納品したとします。それに対して「出版社」は対価として、1000円の報酬と100円の消費税分をこれまでは支払ってきました。
そして今度は、出版社が記事を雑誌にして2000円で販売する場合、消費者は200円の消費税を負担。そのうちこれまで出版社は仕入れにかかった消費税100円が「控除」され、残りの100円を国に納付すればOKという仕組みでした。

しかしインボイス制度の導入に伴い、「出版社」が「フリーランスの事業者」の仕入れにかかった100円分の消費税の控除を受けるためには、フリーランスの事業者が「インボイス制度」に登録し100円の消費税を納める必要が出てくるというものです。

もしフリーランスの事業者がこの「インボイス制度」に登録しなかった場合は、出版社は、フリーランスの事業者が支払うべき消費税100円分の控除を受けられなくなるため、「別の取引先を選ぶ」という選択も浮上してくることになります。

(フリーランスでホームページなどを制作 伊達智美さん)
「今までは免税の個人事業者に依頼していた会社が、同じことが依頼できるのであれば、インボイスを登録している個人事業主にっていう会社が流れてくる可能性はあると思います」
発注元が別の取引先に切り替えらてしまうと、フリーランスの事業者にとっては死活問題ともなります。