日本で初めて「民間が運営する動物園」として誕生した岡山市の池田動物園が、開園70周年を迎えました。園内では、動物と花々のコラボレーションを楽しめるイベントも始まり、記念の日を盛り上げました。

池田動物園で開かれたオープニングセレモニーには、イベントを主催する有志団体の関係者など約40人が参加しました。「命の尊さを感じてもらいたい」と、昨年から開かれている「動物たちと花フェス」は、開園70年に合わせて期間と花を昨年の倍にし、園内で約3万本の花と動物を楽しむことができます。

(花フェス実行委員会・稲村伴睦 実行委員長)「100年、100年以上と続いていくように、この花フェスを中心に、動物が主役ですが発展していってもらえたらいいなと」

4月23日まで開催される花フェスには、園児らが育てた約3000本のチューリップも飾られる予定です。一方、平日の昼間ということもあって、子どもたちの姿は少なく、少し静かな誕生日となった池田動物園でした。

岡山の誇りともいえる池田動物園ですが、様々な問題も抱えています。40年ほど前には、年間15万人以上だった入園者は減少し、新型コロナもあって近年は年間10万人を切っています。

この現状には、「動物の高齢化による減少」や「施設の老朽化」で客足が遠のく中、厳しい財政状況が重なり、「園の魅力向上に踏み込めない」という背景があるといいます。
忠政副園長によりますと、園はこれまでに募金や花フェスのようなイベントで状況改善に取り組み、また今後は園内繁殖を進めて動物を増やしたいとしています。しかし、園のみによる対策には限界もあり、この70年を機に園をどう盛り上げていくべきか、県民の理解や広い議論が求められています。

(池田動物園・忠政智登士 副園長)「2月14日に開園致しまして、きょう(14日)はちょうど70周年になる日でございます」

池田動物園は、「子どもたちを笑顔にしたい」と始まった「池田産業牧場」が前身でした。開園したのは、旧岡山藩池田家の当主・池田隆政 園長。前年に昭和天皇の四女・厚子さんを妻に迎えていました。市民だけでなく厚子さんを訪ねて、多くの皇族の方々も来園されました。

1988年には、中国から岡山に初めてパンダがやってきました。100日間ほどで約90万人が訪れる大盛況で、岡山に生まれた多くの子どもたちがここを訪れました。

しかし、今年で70歳。経営難や老朽化など様々な問題を抱えています。初代園長・隆政さんが亡くなったのは約10年前のことでした。2代目園長となった厚子さん。3年前には新しいゲートで子供たちを迎えました。

きょう(14日)誕生日を迎えた池田動物園。70年のあゆみが、私達に動物園のこれからを問いかけています。